役者としてのプロ意識もなかった。でも、真面目ではあった
当時は高校2年生。ヒロインに近づいた村川さんは喜ぶよりも先に、撮影のために1年間大阪に行かなければならないことが飲み込めなかった。
「えーー!? みたいな。当時のマネージャーさんに“学校に行けなくなるからイヤなんですけど!”と抗議みたいなことをしたり(笑)。そのときに言われたんですよ。“それは受かってから考えようか”と。たしかに……と、妙に納得してしまって。受かる前からそんなことを言ってもしょうがないなと。まさか合格させていただくとは思っていませんでしたけどね」
ーー勝因はなんだったんでしょう。
「素の状態だったのがよかったのかもしれません。たぶん、みなさんがそれをおもしろがってくださって、“この作品のキャラクターにぴったりだ”と思ってくださったのかな」
ーーヒロインに決まってからは、気持ちはすぐに切り替えられましたか?
「いえ、なかなか切り替えられなかったんですよね。まず、当時は眉毛をちょっと細くしていたんですが、“自然に囲まれた場所で育った子だから、眉毛を生やして”と言われて、え!? みたいな。
アーティスト志望だったこともあり、ずーっとマネージャーさんにグチグチ言ったりして(笑)。でも、なんとか作品のキャラクターになり、撮影がスタートしました」
正直すぎる愚痴は、等身大の高校生そのもの。制作側からのオファーでヒロインが決まることが増えた昨今の朝ドラ撮影現場では、なかなか見ない光景に違いない。
「もうほんとうに普通の高校生で、役者としてのプロ意識もなかった。でも、真面目ではあったんです。だからがんばろうと思いました」