怖いと思うものほどチャレンジしたい

ーー怖い、というのはどういうことでしょう。

「NHK朝ドラの『風のハルカ』のときのマネージャーさんが、オーディション中にうじうじと考えていた私に言った言葉があるんです。“やってみなきゃわからないでしょ”と。そう、怖いと思っても、やってみなきゃわからない。この言葉は、今も迷ったときに絶対に浮かんでくるんです」

 そして「誰だっけ……誰かが言っていて、かっこいいと思ったんだけど」と前置きしつつ、教訓にしているという言葉を教えてくれた。

「怖いと思うことほどやる、みたいなフレーズなんですが、それを教訓に、怖いと思うものほどチャレンジしたいと思っているんです」

 仕事でもそんな局面があったという。それは、2023年2月、東京国際フォーラムほかで上映されたミュージカル『ドリームガールズ』のオファーがあったときのこと。同作はブロードウェイでロングランを記録した傑作ミュージカルで06年には映画化。ジェイミー・フォックス、ビヨンセ、エディー・マーフィーらが出演し、米アカデミー賞で2部門で受賞している世界的な名作だ。

「ほんっとうに怖かったんです。だって世界的に有名なミュージカルの日本初演ですよ? “絶対にできない! ムリ!”と思いました」

ーーどんなところに恐怖心があったのでしょう。

「私が演じるエフィという役は、歌がすごく上手いという設定でした。歌って生まれ持ったものがあるし、練習にも限界があるんですが、ソウルミュージックだし、“私じゃ太刀打ちできないのでは!?”と。いろんな圧力が自分に降りかかるのがわかりました」

 だが、村川さんは結局オファーを受けた。怖いと思うところに、飛び込んだ理由は、「ただただ、その作品が好きだった」から。