「RINJIN」「パヤパヤ」などのヒット曲で知られるバンド『LA-PPISCH』(“A”はウムラウト付き。以下、レピッシュと表記)。そのフロントマンで、ボーカル・トランペットを担当するのがMAGUMIだ。2023年でバンド結成40年、MAGUMIさんの長い音楽人生の「THE CHANGE」に迫る。【第4回/全5回】

MAGUMI 撮影/松野葉子

 レピッシュのフロントマンでありボーカルを務めているMAGUMIさん(60)。インタビュー中盤となって、レピッシュに欠かせないメンバーであった上田現さんとのエピソードを静かに語り始めた。

 上田さんは名プレイヤーでもあり、ファンからも現ちゃんの愛称で親しまれていた。そんな上田さんの代わりに、レピッシュでキーボードのサポートを務めているのが奥野晋哉さん(ソウル・フラワー・ユニオンのキーボード奏者。レピッシュ以外にも布袋寅泰エレファントカシマシなどのサポートも務める)だ。上田さんの代わりとなるプレイヤーを見つけるのは大変だったのではないだろうか。

「ふたりとも、キャラは同じ関西人だから似ているっていえば似ているけど……でもキーボードスタイルとしては全くベクトルが違う。現ちゃんはクラシックでつねに宇宙を観ているような人。奥野は逆に正確。いわゆるピアノをずっとやってきた人たちって、音の置き方を意識するんですよ。たとえば“パンパンパン”っていう旋律を“パンパンパーン”って間を持たす。いや、それはちょっと持たせ過ぎだろう! って感じるんです。

 奥野は大人になってからキーボードを始めたから、そういう弾き方ではない。逆にそれが個性になっている。あと奥野は研究熱心なんです。現ちゃんが使っていたのと同じキーボードも買っていますからね。そこから音作りを始めているじゃないかな。あと、サポートに入るようになってから、サックスも勝手に吹き始めたからね(笑)。(レピッシュでは、上田さんがサックスも演奏していた)」