上田現さんとの別れがつらすぎてアルバムが聴けない

 レピッシュの転換期といえば、2002年の上田現さんの脱退。世間的には、上田さんといえば、元ちとせさんのデビューシングル「ワダツミの木」の作詞・作曲を務めたことが知られている。

 上田さんはしばらくバンド活動から離れていたが、2007年にレピッシュのメジャーデビュー20周年を記念しバンドに復帰予定だった。しかし、活動再開となった『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZO』では、腰痛を理由に出演を辞退。実際にはがんの闘病中だった。

 上田さんの話題になると、それまで饒舌だったMAGUMIさんも少し言葉に詰まった。

「実際には、もうライジングのころには、抗がん剤治療の副作用で動けなくなっていた……。でも本人は公表したくないっていうから、亡くなるまでは言わなかったけれど。現ちゃんのソロアルバムは3年ぐらい聞けなかった。

 現ちゃんのことを思い出して、胸が痛いとかを超えていた。地に足がついていないような感じの気持ち悪さというか、胸がざわつくような不安な気持ちになってしまうんだよね」

 レピッシュファンの間では、上田さんとメンバー・杉本恭一さんの阪神タイガース好きは有名だ。今年は18年ぶりにセ・リーグで優勝し、38年ぶりに日本一を果たした。記者が「現さんも喜んでいるんじゃないですか」と伝えると、MAGUMIさんからは「そこまで興味があるかわからないよ」と意外な返答があった。

MAGUMI 撮影/松野葉子

「実は亡くなる前に現ちゃんから言われたんだけれど、“自分が生きるか死ぬかの瀬戸際になったときに、阪神がどうでもよくなったんや”って言っていたんだよね。現ちゃんの体調が悪くなって僕たちと野球をやれなくなったときに、“逆に執念みたいなものが上がってきてるんや。必ず戻るから待っていてくれ。俺を除名しないでくれ”って言われた。だから、最期の時には、棺の中に草野球チームのユニフォームを乗せていました」

 ミュージシャンを主体とした野球チームの実態について、MAGUMIさんはこう語った。

「6チームでリーグ戦をやっていて、ピエール瀧がいるチームがピエール学園。マキタスポーツ周辺の芸人がいるチームはマキタ学級。あと郷太(*NONA REEVESの西寺郷太)がやっているチームとか。意外といろいろあるんですよ。もう25年くらいこのメンツでやっているんだけれど、うちのチームには新しいメンバーが来ないから平均年齢が50超えてます。なかなか勝てないんだよね」