昨年最も顔を知られた新人俳優と言ってもいいのではないだろうか。NHK連続テレビ小説ブギウギ』で、趣里演じる福来スズ子の弟・六郎として愛された黒崎煌代。2022年に開催されたオーディションに合格して芸能界入りし、2023年に入って俳優デビューを飾った。そのテレビドラマデビューが朝ドラという強運と、決して運だけではないダイヤの原石であることは、すでに『ブギウギ』を見ていた視聴者には証明済みだ。これからが楽しみでしかない黒崎さん。眩しい21歳のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全4回】

黒崎煌代 撮影/冨田望

 NHK『ブギウギ』の六郎として、とても支持された黒崎さん。六郎は亀が大好きな青年だったが、黒崎さん自身は「ゴリラが好き」だとか。その理由とは? その前に、演じることに天性の才能があるように映る黒崎さんの映画原体験を聞いた。

 もともとは映画を作る側になりたかったという黒崎さん。そこには、海外で映画関係の仕事をしていた父からの影響があった。黒崎さんは日本で育ったが、父が日本に帰って来ると、自宅で定期的に父から「今日はこの映画を観るぞ」とDVD鑑賞の“英才教育”を受けたという。

「私は小学校低学年でしたし、単純に映画が好きな父が、好きな作品を見せてくれていただけなんですけど、“これは押さえておけ”みたいなのが、あったのだと思います。“人生、生きていくうえで知っておいたほうがいいぞ”と。なかでも自分の意識のなかですごく残っているのが『スター・ウォーズ』です。

 “デーン!”とまずあの初めの音が強烈ですよね。あれで一気に引き込まれて。そこからもういろんなモンスターが出てくるわけですけど、その特殊メイクがスゴイじゃないですか。それで僕が“これ、どうなってるんだろう”とつぶやいたんです。すると見終わってから父がインダストリアル・ライト&マジックというジョージ・ルーカスの特殊効果工房が出している図鑑を持ってきてくれて、“実はこれはこういうメイクで、こういうミニチュアを使って『スター・ウォーズ』の世界は作られてるんだ”と見せてくれたんです。衝撃でした。そこで映画の裏側を知ったんです」

――『スター・ウォーズ』自体も衝撃だったけれど、裏側を見たことが、さらにいい意味で衝撃だった?

「そうです。まだ子どもなので、映画を観て、“本物なのか”とも思えるわけです。でもそこで父が否定するわけです。“作り物だ”と。小学2年生に。『スター・ウォーズ』という物語を観た衝撃はもちろんですけど、それがフィクションだった。こんなスゴイものを作ってしまっていたということがさらなる衝撃だったんです」