「これはTBSの生放送で歌って、100点を出した歌なんだけど……」

 そろそろ時刻は14時半をすぎようとしている。ほいさんといえば、やはりカラオケ。歌っている姿の撮影を依頼する。

 すると、ほいさんは慣れた手つきでリモコンを操り、マイク片手に立ち上がる。そして、カラオケ機器本体を巧みに調整。

「これはTBSの生放送で歌って、100点を出した歌なんだけど……」

 テレビ画面に浮かび上がるタイトルは、郷ひろみさんの『言えないよ』。おなじみの精密採点が画面上部に陣取る。そして、おなじみの完璧に思える歌いっぷりを披露してくれた。

ーーすごい! これは100点じゃないですか!?

「部屋の環境でいい点が出るか出ないか、変わるんです。スピーカーからの音量はゼロにして、マイクからは僕の声だけ拾うようにしてます」

 出た得点は、99.94点。取材者たちが見たことのない数字に興奮するも、ほいさんはクールに「ちょっと別のを歌ってみる」と、『あなたがいたから僕がいた』(郷ひろみ)を入れる。こちらは99.7点。

ーーこんなに歌ってくれるなんて。このサービス精神はどこで培われたものなんでしょう。

「うーん……たぶん僕は、人に褒められたいんだと思います。子どもの頃、母子家庭だったというのも要因かも。おばあちゃんに育てられましたけど、人にかまってもらう、人に褒めてもらう、というとき、なにかやらなきゃいけないという意識がすごくあって。
 人を楽しませているときの自分って、客観的に見ても自分で自分を評価できるな、と思っているんです」

 そう話しながら、手元のリモコンは3曲目、堺正章さんの『さらば恋人』をセレクトしている。またもや、99.7点。時間は、次の約束の15時半まであと5分となっていた。

 100点を出し、目の前にいる人を楽しませたい、驚かせたい、心を動かしたい。そんな余韻を残しつつ、ほいさんは「じゃあ、ありがとうございました!」と、疾風のように取材現場をあとにした。

ほいけんた
1965年7月7日生まれ、東京都出身。高校2年生の頃にアクションチーム入りし、1983年に俳優デビュー。以降、お笑い芸人としてストリップ劇場やショーパブで修行、プリンセス・テンコーのアシスタントを経てマジシャンや大道芸人としても幅広く活動し芸を磨く。明石家さんまのモノマネで注目を浴び、本人役で再現ドラマに多数出演するようになる。2020年に歌うま芸人として認知を高め、2022年9月に出演した『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)をキッカケに大ブレイク。「カラダぐぅ」「くるっくー」などのフレーズは大バズリしている。