懐かしのドラマを続けて再現

ーー構成作家出身の秋元さんですから、そのあたりの演出はお手のものですよね。

「私の場合、物語性といえばドラマかなと思って、ディナーショーの前半は、過去に出演したドラマ仕立てにしました。開演前は『星の金貨』(日本テレビ系)のサントラ盤を流して、最初に主題歌の『碧いうさぎ』を歌ったら、お客様がワーッと盛り上がって」

ーー狙い通り、観客の心をわしづかみにしたと。

「ふだんは最後に歌うことが多い曲なので、冒頭に持ってきたことが新鮮だったみたいです。トークでも、ドラマで演じた役のセリフを織り交ぜて、できるだけ、その世界観に浸っていただいて」

ーー観客も、ドラマのシーンを思い出していたのかも。

「『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)の主題歌だった『サボテンの花』を歌いながら会場を回ったときは、盛り上がり過ぎて、ステージに戻る前に曲が終わってしまいました(笑)。
 始まる前は不安だったんですが、ふたを開けたら好評で、“さすが秋元さん”と改めて思いました」

ーー酒井さんの代表的なドラマの世界を、続けて体験できたんですね。

「『星の金貨』では、堀越高校時代からの友人、西村知美ちゃんがヒロインの親友役で出演していました。そこで、今回のディナーショーでは、彼女にナレーションを頼んだんです。
 主人公は、耳の不自由な子という設定でしたので、手話を確認するために、久しぶりにドラマを見なおしたんです。すると、知美ちゃんのお芝居が素晴らしいんですよ。
 当時は自分のことに精いっぱいで気づけなかったんですが、彼女らしい温かさや可憐さが感じられて、今さらながら魅了されました」

ーーお二人は同学年ですが、歌手としては西村さんが1年先輩ですよね。

「ええ。私は1987年デビューで、同期は坂本冬美さん、『BaBe』のお二人、立花理佐ちゃん、畠田理恵ちゃんたちです。当時盛んだった新人賞レースでは、いつも一緒でしたね」