お笑いコンビオードリーの春日俊彰、マンガ『かりあげクン』など俳優・戸塚純貴が演じてきた役は、強烈な印象を残すものが多い。2024年はNHK朝ドラ『虎に翼』出演も決まった唯一無二の個性を持つ戸塚さんだが、俳優として歩み始めた当初は悩みもあったとか。そんな戸塚さんのTHE CHANGEとは?【第1回/全4回】
「レコーダーの録音は大丈夫ですか?」
取材者の前に登場し、椅子に腰かけながらの戸塚純貴さんの第一声は、こちらへの気遣いの言葉だった。
この日は、戸塚さんの出演する映画『ある閉ざされた雪の山荘で』のイベントがあり、主演の重岡大毅さんをはじめ、メインキャストたちの取材が会場のあちこちで行われていた。
近くでは動画の撮影が行われているなど、通常とは勝手の違う環境。そんななか、取材する側のことを気に掛ける戸塚さんの好青年ぶりにグっとくる。
戸塚さんと好青年といえば、AmazonプライムのCM動画だろう。戸塚さん演じる青年が、自分のおばあちゃんにバイクのヘルメットをプレゼントする、という内容。現在も公式YouTubeで見ることができるが、最初にアップされた6年前から、定期的に「沁みる」「温かな気持ちになる」と話題になりつづけて、すでに1000万回超えの再生回数を記録している。
このCMの人気ぶりは、戸塚さん本人の耳にも入っているのだろうか。
「確かに、あのCMが最初に世の中に出た時には、めちゃくちゃ盛り上がってましたね。でも!」
こちらがCMについて訊ねるや、戸塚さんは「ちょっとちょっとご近所さん、聞いてください」と言わんばかりに片手を顔の横でちょいちょいと動かすジェスチャーをしながら、話しはじめた。
「いや、話題にはなってたんですけどね。あのおばあちゃんと二人乗りをしているのが僕だということには、みんな気づいていなかったんです」
――どういうことですか? 戸塚さんだと気づかれていなかった?
「映画『走れ!T校バスケット部』でYOUさんと共演させていただいたんです。そのときに“最近、すっごくいいCMがあるの、知ってる?”って言われて。それが、あのAmazonプライムのCMだったんです」