84年にデビューするやいなや、瞬く間に人気アーティストとなったBARBEE BOYSのベーシストであるエンリケ。彼の活躍は、バービーだけに留まらない。浜崎あゆみを始め、永井真理子、江口洋介などの数多くのバックバンドも務めた。現在も、ベーシストとして精力的な活動を続けている、エンリケという名プレーヤーの誕生と転機に迫る。【第1回/全5回】

ENRIQUE 撮影/冨田望

「こんにちは、よろしくお願いします!」背中にベースケースを背負いながら、エンリケさんはにこやかに取材場所に現れた。1982年に結成ののち、人気絶頂期には東京ドームでの単独ライブも行われるほど、人気アーティストとして一時代を築いたBARBEE BOYS(以下、バービー)。今でこそあたりまえとなった男女のツインボーカルバンドの先駆け的存在だ。

 そのようなバンドに、エンリケさんはどうして加入することになったのだろうか。

「俺が18歳の頃に組んでいたバンドのギタリストが、イマサ(いまみちともたか/バービーボーイズのギタリスト)と友達だった。友人がイマサのバンドを“面白いバンドがあるよ”って言って見に行っていた。その頃はまだ加入するとは思わずに、バービーがデビューするきっかけとなった『CBS・ソニーSDオーディション』も客席で見ていたくらい。

 バービーはメジャーデビューが決まったけれど、当時のベースの安部王子(*子供ばんどやバービーに参加。現在もベーシストとして活動している)が脱退するって云うんだよね。

 今にして思えば、イマサは最初からベースが抜けることを念頭に置いて、俺がやっていたバンドを見に来たりしたのじゃないかな。あるとき、“面白いことをやっているから、俺たちのバンドも見に来てよ”ってイマサから言われた。俺が19歳で、イマサが23歳。当時の19歳からすると、イマサはもうめちゃくちゃ大人に見えたね」