よしながふみの原作コミックを実写して非常に高い人気と評価を集めた、昨年放送のNHKドラマ10『大奥』。中でも最後の将軍、15代徳川慶喜(一橋慶喜)を実に見事に演じ切り、強烈な印象を残した大東駿介。登場した際、大東さんとは気づかない視聴者も多かったほど完璧に慶喜像を作り上げていた。2005年から活動し、現在、ドラマ、映画、舞台と活躍。最近、新たにベーシストとしての顔も加えた大東さん。そんな彼の「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全5回】

大東駿介 撮影/三浦龍司

 ストンと落ちるようなチャコールグレーのジャケットに黒のワイドパンツを着こなし、陽のエネルギーをまとって颯爽と現れた大東駿介さん。NHK(BS)の『仮想儀礼』、『厨房のありす』(日本テレビ)の放送に加え、同世代の高良健吾さん、石田卓也さんと幼なじみを演じた骨太な映画『罪と悪』も公開と引っ張りだこだ。

「大活躍ですね!」。

お世辞抜きで声を掛けるも、「これで大活躍やったら、もっと頑張らないと」と謙遜する。だが実際、いまの大東さんは確実にノッている。キャリアは20年目。37歳となり、色気も出てきた。

――37歳のいま、デビュー当初と見えてきているものは違いますか?

「違いますね。何より、作品を作る過程がすごく愛おしいです。新作の『罪と悪』もそうです。作品作りに関わるすべての人、作るという過程の全部が愛おしいし、大切です。僕は現場の時間がすごく好きなんです。だからこそ、その現場が好きだと言えるようにちゃんと準備したい。なんかちょっと気持ち悪いかもしれないですけど、やっぱり“この仕事、好きやな”って思うんです」

 そう、少し照れながらもまっすぐに話す大東さん。