よしながふみの原作コミックを実写して非常に高い人気と評価を集めた、昨年放送のNHKドラマ10『大奥』。中でも最後の将軍、15代徳川慶喜(一橋慶喜)を実に見事に演じ切り、強烈な印象を残した大東駿介。登場した際、大東さんとは気づかない視聴者も多かったほど完璧に慶喜像を作り上げていた。2005年から活動し、現在、ドラマ、映画、舞台と活躍。最近、新たにベーシストとしての顔も加えた大東さん。そんな彼の「THE CHANGE」とはーー。【第2回/全5回】

大東駿介 撮影/三浦龍司

2005年にデビューし、今年でキャリア20年目に入る大東駿介さん。これまでにさまざまな出会いを重ねてきたに違いないが、なかでも影響を与えられたと言える出来事はなんだろうか。

「自分がその出会いによって変わったなと思えることは、山ほどあります。僕は、人としてなにもない空っぽな状態で大阪から上京してきて俳優になりました。だからひとつひとつの出来事が、本当に衝撃のようで、昨日のことのように今でも残っています。人との出会いだけでなく、出来事の全てが。初めて海外に行った『世界ウルルン滞在記2008』で、インドネシアで死にかけたこととか」。

『世界ウルルン滞在記』は毎日放送で制作されていた番組だ。俳優やタレントがレポーターとなって海外へ赴き、さまざまな事柄にチャレンジしていく様子をドキュメントとして放送しながら、その国の文化などをクイズ形式で紹介していく。大東さんは『世界ウルルン滞在記』『世界ウルルン滞在記“ルネサンス”』『世界ウルルン滞在記2008』に出演した。

「役者の先輩との出会いでいうと、いろんなところで話しちゃってるんですけど、やっぱり中井貴一さんとの出会いが、自分にとってはめちゃくちゃ大きいんです。『平清盛』(2012)で、初めて大河ドラマに出たときのことです。

 大河ドラマへの出演は、役者という仕事をしていく上で、ひとつの目標でした。叶ってみたら、浮かれる瞬間なんかなくて、もうガチガチで、無我夢中やし、実際に始まったら不安やし……」