よしながふみの原作コミックを実写して非常に高い人気と評価を集めた、昨年放送のNHKドラマ10『大奥』。中でも最後の将軍、15代徳川慶喜(一橋慶喜)を実に見事に演じ切り、強烈な印象を残した大東駿介。登場した際、大東さんとは気づかない視聴者も多かったほど完璧に慶喜像を作り上げていた。2005年から活動し、現在、ドラマ、映画、舞台と活躍。最近、新たにベーシストとしての顔も加えた大東さん。そんな彼の「THE CHANGE」とはーー。【第3回/全5回】

大東駿介 撮影/三浦龍司

 10代の後半で大阪から上京し、走り続けてきた大東駿介さん。俳優としての活躍はもとより、ドラマ『新・ミナミの帝王』などで、ずっと親交のある千原ジュニアらと、昨年バンドHONEY BADGERを結成した。さらに今年1月にはShibuya O-EASTにて開催された、オールナイト音楽イベント「STILL MORE BOUNCE 2」でベーシストとしてデビューを果たした。

――ミュージシャンとしてステージデビューを果たしました。ライブはいかがでしたか?

「面白かったです。シビれましたね。芝居とは表現が全然違うし、音楽ってすごいなって。それにエンターテインメントの数って、無限にあるんだなと実感しました。基本、俳優なんやから俳優だけやっていればいいと思うんです。

 でも同時に、俳優って、いろんな人生を表現するのだから、俳優の視点だけでモノを見ていくのには限界が来るとも思うんです。だから自分がチャレンジできること、何かを知れる機会があるなら、それをなるべく逃したくないんですよね」

――それがバンドだったと。

「とはいえ、バンドはえげつなかったです(笑)」

――えげつなかったですか(笑)。

「僕らって、舞台で1回の公演3時間のものを1か月から2か月間稽古して、ひと公演1200席とかが限度ですよね。それが音楽って、30分とか1時間のステージで、何万人という人間を瞬時に感動させたりするわけじゃないですか。エンタメに携わる人間として、そういう世界を垣間見られたのは本当に新鮮でした」

――さらに扉が開いた感じでしょうか。

「他のことへの好奇心も開くと思います。自分の可能性ももっと知りたいし。それに僕らもセリフとか声とか、音を使う仕事をしていますけど、音楽はさらに一音一音に想いを込める仕事やから、そういった意味でも、意識が変わりました」

――ところで、大東さんはバンドでベース担当ですが、おじさまもベースをされていたんですよね?

「そうなんです。藤井裕というベーシストで、忌野清志郎さんの後ろでベースを弾いていたんです」