表現は仕事ではあるけれど、自分の喜びでもある

 自分の想像したものを表に出す、具現化することが、一番の快楽かなって。そう思ってから、アウトプットすることを惜しみなくやるように心がけています」

――アウトプットを惜しみなく、ですか。そうなるとインプットも大変そうです。

「わずかなアイデアでも思いついたらどんどん口にしますし、そうすると、いろんなことをインプットしたくなってくるんです。あらゆるものが自分の中で常に回っている状態です。たとえば老朽化した建物を見たら、“これが老いか”とデザインや時間の蓄積といった刺激として飛び込んでくる。表現は仕事やし、これで飯を食っていかなあかんけど、自分がやりたいこと、喜びとしてやっています。

 だから“あいつは遊んでいるだけで仕事してない”と言われたら終わりだけど、自分の遊び心に誠実でいたいんです。そのうえで、いま、僕のことを面白がってくれる人、理解してくれる人が増えていて。すごくありがたいし、その人たちの期待に応えられるように、裏切らへんように、“もっと自分も面白がったろ”と思ってます」

 大東さんの中での“面白さの循環”は広がりを見せ、作品としてどんどん形になっている。バンド活動からの刺激もあり、さらに世界を面白く見た大東さんの生み出す芝居を、これからも見ていきたい。

大東駿介(だいとう・しゅんすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。2005年ドラマ『野ブタ。をプロデュース』でデビュー。09年後期の連続テレビ小説『ウェルかめ』で注目される。12年には大河ドラマ平清盛』に出演。近年の主な出演作にドラマ『妖怪シェアハウス』『大奥 Season2「幕末編」』、映画『バイオレンスアクション』『Gメン』など。現在、ドラマ『仮想儀礼』『厨房のありす』が放送中。公開中の映画『罪と悪』では陰惨な過去と向き合う3人(高良健吾、大東、石田卓也)の幼なじみのうち、刑事となった晃を演じている。公開待機作に『映画 マイホームヒーロー』がある。

■作品情報
映画『罪と悪』
監督・脚本:齊藤勇起
エグゼクティブプロデューサー:古賀俊輔
プロデューサー:湊谷恭史
出演:高良健吾、大東駿介、石田卓也、村上淳佐藤浩市(特別出演)、椎名桔平
(C)2023「罪と悪」製作委員会
配給:ナカチカピクチャーズ 
公開:2月2日(金)