俳優・橋本愛。14歳のときの映画『告白』で注目され、17歳でのNHK朝ドラ『あまちゃん』で誰もが知る存在となった。以来、現在までキャリアを重ねてきた橋本さんだが、大きく悩んだ時期があったという。そのTHE CHANGEとはーー。【第1回/全4回】

橋本愛 撮影/有坂政晴

 廊下から明るい笑い声が響いてくる。黒と白のコントラストが際立つドレスの裾を揺らしながら、橋本さんが取材部屋に入ってきた。赤みがかったピンク色の髪に合わせたリップとネイル。同じくピンクにキラキラと輝くロエベのヒールに、目がくぎづけになる。靴もドレスも見事に着こなす橋本さんのたぐいまれなセンスが伝わってきた。

「いつも、衣装はスタイリストさんと一緒に考えています。今日はこの靴を見た瞬間に“かわいい! これ履く!”と即決でした」

 と、ほほ笑みながらロエベについて語り、椅子に座った橋本さん。「かわいい砂時計ですね」と、机に置いてあった『THECHANGE』のアイコンである砂時計を手に取る。 

「自分では持っていないのですが、砂時計は好きです。形も素敵だし、ぼ~っと見るのも好き。それに砂が落ちていく感じがいいですよね。リラックス効果がある気がします」

 持ち上げて眺めながら、丁寧に話してくれる。

 クールな印象もあるが、実際の橋本さんの放つ雰囲気や“声”には、相手を落ち着かせる力があるように思える。しかし、橋本さん自身は、意外にも“声”にはずっと自信がなかったのだと語る。 

「俳優として役を表現するには、感覚的、感情的な問題にプラスして、技術的なことも関わってきます。声に関しても、技術的な鍛錬が必要だと思っています。でも、私は昔から声に対して未熟でした」