“声”の問題への対処法「まずは“歌を歌いたいです”と伝えました」

――声に対して未熟とは? そう感じる出来事があったのでしょうか。 

「音声部さんから“セリフが聞き取れないので、もう少し声をあげてください”と何度も言われたことがあって。当時は、声が小さいだけじゃなくて、声に響きがなかった。口の中の空間が狭くて、表面的な声が出てしまって響かないんです。だから通らない。
 ずっとそう言われてきましたが、言われて対応できる力もなくて。そういう期間がけっこう長かったのですが、これじゃダメだ、と思って声のトレーニングを重ねました」

 ――どんなトレーニングをしたのですか?

「基本的には歌です。まずは“歌を歌いたいです”と伝えました」

 橋本さんは歌手としての評価も高い。特に2020年に『THE FIRST TAKE』で公開された『木綿のハンカチーフ』(※松本隆作詞、筒美京平作曲による楽曲で1976年に太田裕美が歌って大ヒットした)のカバーは、絶大な評価を獲得した。

「私、歌ってすごくお芝居につながると思っているんです。だから歌を歌いたいと。歌えるようになれば、お芝居の声も絶対によくなると思ったんです」 

――そう思った理由はなんだったんでしょうか。

「私の好きな女優さんが、全員歌が歌える方たちなんです。田中裕子さんとか、松たか子さんとか、みなさんの歌が本当に素敵で。絶対にそこに秘訣があるんじゃないかと。セリフは歌うようにお芝居して、お芝居するように歌うとおっしゃる方もいます。私もそうなりたいなと思ったんです。
 トレーニングを開始したのは5~6年前、もう少し前かな。20代には入っていたと思います。10代の頃もレッスンする機会はあったのですが、自分自身がふさぎ込んでいた時期でもあったので、積極的に特訓していませんでした。もともと歌いたいという衝動は持っていたので、20代に入ってからレッスンを始めました」

――歌いたいという衝動はもともとあった、と。

「はい。10代の頃からずっと歌いたいとは思っていました。でも言う勇気がなくて。20代を過ぎて、やっと口にできるようになりました。“声”のトレーニングといった意味もありますが、歌のレッスンをしたかったのは、別のベクトルからの理由もありました。
 お芝居に悩んでいる時期があって、全然演じられないなと感じているときがあったんです。簡単に言ってしまうと、“すごく演技が下手だな”ととても悩んでいて。でも歌を歌っているときには歌詞の中に入れている感覚があった。
 歌だと入れるのに、どうしてお芝居だと入れないんだろうとずっと思っていました。それで“入っている感覚”を体に覚えさせたくて、“歌いたい”と思いました」