歌うようになってからの変化「自分の体を知れたと思います」

――歌うようになって、変化はありましたか?

「声帯も体の一部ですし、自分の体を知れたと思います。この仕事は体が道具なので、とても大事なことです。それから本格的にトレーニングできるようになったのは、成島出監督とお仕事できたことも大きいです。 
 成島監督の『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』(2020年)に出させていただいた時、自分に足りないものをすごく教えていただいたのですが、“声”に関しても監督からとても言われました。
 君はその骨格だったら、もっとこういう声が出せるはずだと。特訓すれば絶対に出せるはずだからとおっしゃっていただいたんです。その時は全く出せなかったのですが、そう言っていただいて、トレーニングを重ねていくうちに、本当に出るようになっていきました」

 ここ数年の間でもさまざまな心の動きがあり、トレーニングを重ねていた橋本さん。

「すごく演技が下手」という悩みは意外に思えるが、その悩みが現在の橋本さんの声、彼女ならではの歌、そして演技を生んでいったのだ。

はしもと・あい
1996年生まれ、熊本県出身。中島哲也監督の『告白』(10)に出演し注目を浴びる。続く吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』(12)などで第36回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13)で圧倒的な人気を獲得する。近年の主な出演作は、映画『PARKS パークス』(17)、『ここは退屈迎えに来て』(18)、『私をくいとめて』(20)、『ホリックxxxHOLiC』(22)など。『ザ・フラッシュ』(23)では実写吹き替え声優に初挑戦した。ドラマ出演はNHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、「家庭教師のトラコ」(22/NTV)、Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」(23)、「アナウンサーたちの戦争」「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」(23/NHK)など。公開待機作に『ハピネス』(5月17日公開)がある。10月には神奈川県民ホール開館50周年記念オペラ「ローエングリン」でエルザ役を務める。俳優・モデルの他、音楽活動や写真、コラム連載をもち幅広く活躍中。
ヘアメイク:ナライユミ
スタイリスト:清水奈緒美

●作品情報
映画『熱のあとに』
監督:山本英
脚本:イ・ナウォン
出演:橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司
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配給:ビターズ・エンド 
公開:2月2日(金)