国民的アイドルグループ「乃木坂46」を牽引してきた松村沙友理。グループ在籍中にはユニット「さゆりんご軍団」を立ち上げ、新たな発信も行ってきた。「乃木坂46」に加入後、ちょうど10年目となった節目にグループを卒業した、松村さんにとってのTHE CHANGEとは──。

松村沙友理 撮影:冨田望

 

 乃木坂46在籍中から、アイドル、モデル以外に、俳優としても活躍してきた松村さん。2013年に放映されたドラマ『BAD BOYSJ』(日本テレビ系)出演を皮切りに、俳優として着実にステップ・アップし続けてきた。

 松村さんにとって俳優としての転機となった作品は、21年に公開された映画『ずっと独身でいるつもり?』(ふくだももこ監督)だったと言う。20~30代の4人の女子が厳しい現実を生き抜いていく姿を赤裸々に描いた作品で、松村さんが演じたのはパパ活をする”港区女子”の美穂だった。

「それまで演らせていただいた役っていうのは、ほとんど自分に近い感じのキャラが多かったんですね。それこそ乃木坂46のドラマとか映画も、やっぱり各々の個性を見てキャスティングされるので、結果として、すごく自分に近い役だったんです。ふくだ監督のその作品もけっこう、“私に近いのかな”って思っていたら、監督の中ではまったく違っていて……」

 最初の本読みのときに自分なりに美穂像を作り上げ、高めの声で臨んだところ、監督から「それは全然違う」と指摘され、「地の声が何なのかわからなくなってしまった」という。ふくだ監督の「正反対の意見」に出会い、その意見を自分の中で消化するのに時間がかかった。

「いろいろ労力も使った分、自分の中で、ほんとに”新しい扉”が開いたなって感覚がありましたね」