俳優人生に多大な影響を及ぼした先輩からの教え

 当時まだ24歳。トップアイドルとして活躍する植草さんの台本に記されていたのは、どれも二枚目としてのセリフばかりだった。役者としての第一歩すら、踏み出しているかも定かではない植草さんの答えは、シンプルなものだった。

「正直に“わかんないです。何が面白いのかもわかんないです”と答えました。そしたら三浦さんが“お前、好きにやれよ。全部、俺がケツ持ってやるから”って」

 その場で“エッ”と驚きの声を上げた植草さん。その後、三浦さんから受けた役者としてのアドバイスが、以降の俳優人生を左右することになる。

「“真面目なことはやらなくていい”、“弾けろ、好きなようにしていいから”と言われて。ずいぶん気が楽になりましたね。あんな先輩、後にも先にもいなかったですね」

 台本に書かれたセリフをただ読み上げていた、それまでとは一変した。自分の感性を織り交ぜながら、演技を始めた植草さんのところには、他のアイドルとは一線を画した出演オファーが届くようになる。

「三枚目とまではいかないんですけど、2.5枚目くらいのセリフやオファーが増えましたね。芝居をやりやすいと思うようにもなりました」

 すると、三浦さんとの撮影現場で、ある違和感を抱くようになる。三浦さんのセリフ回しや会話のテンポが他の俳優とは異なることに気がついたのだ。ある日、三浦さんから植草さんのもとへと掛かってきた1本の電話が、その違和感の正体を明らかにしてくれた。