「なんでこの仕事してるんだろうって、自分でも不思議です」といって前田敦子は笑う。AKB48で絶対的なエースとして君臨し、2012年にグループを卒業してからは、俳優として活躍を続けてきた前田さん。その「変わらない本質」と「迎えたTHE CHANGE」とはーー。【第4回/全5回】

前田敦子 撮影/有坂政晴

 映画やドラマだけではなく、野田秀樹氏が手掛ける人気プロジェクトNODA・MAPを含め、いくつもの舞台作品に立つ前田さん。ライブもそうだが、舞台も、自身の生の声を観客に届けることができる。

「舞台は、声を張るという部分でも好きです」という前田さん。

――“声を張る”のがお好きなんですか?

「そうなんです。いろんなジャンルがありますけど、特に野田さんの舞台は好きです。
 私、声が枯れないんですよ。声が出なくなったことはないです。それこそ、野田さんの作品は声を張るものが多いですけど」

 NODA・MAPの舞台は、圧倒的な人気を誇るが、確かに声を張ったり、叫んだり、早口でまくしたてたりと、喉に負担がかかりそうなものが多い。

――野田さん演出の『パンドラの鐘』を拝見しましたが、前田さんの“声”はこちらに届いてくる声だと感じました。

「ありがとうございます。人に声を届けることが好きなのかもしれません。自分の発声とかには、特に自信があるわけではないんですけど、“声を届ける”ということに対して、伝わってきたと言われることは一番うれしいです」