眼光鋭いアウトロー、不器用な愛され男子、完璧な仕事をこなす頼れる部下……高良健吾さんを思い浮かべるとき、さまざまな作品での印象的な役柄を同時に想起する人が多いのではないか。役柄の共通点といえば、その作品に対する高良さんの真摯なまなざし。作品ごとに、以前の作品でのイメージを一気にチェンジする力を持つ俳優・高良健吾さんが語る、「THE CHANGE」とは――。【第5回/全5回】

高良健吾 撮影/三浦龍司

 2月2日公開の映画『罪と悪』で、少年期は機能不全の荒れた家庭で育ち、地元の不良少年を束ね、裏仕事にも手を染める建設会社経営者・春を演じている、高良健吾さん。

 これまで、そうしたアウトローからお人好しな青年まで、幅広い役柄を演じ、多くの観る者にさまざまな影響を与えてきた。だが、高良さんは言う。

「僕は人に影響を与えたくて役を演じているわけではないです。だって、自分がふだん思っていることや、世の中に対して思うことは、役には絶対に反映されたくないですし。意味がわからないじゃないですか。僕が大切にしているメッセージを役に込めるなんて、すごい雑念でしかないんですよ」

 自身の思想は雑念。はっきりとした線引きを示す高良さんは、だからこそ、「僕自身もいろんな役から影響を受けてきた」と話す。

「もちろん共感できない部分ってたくさんあって。今まで演じてきた役、全員に共感できるわけじゃないし。だけど、自分が演るからこそ、ひどい奴でも自分が一番、理解したいと思っているんです」