――ロボットが苦手とのことですが、俳優としてはこれから対峙する機会もあるのでは。

「やりたいです。そういった規模が大きな作品も。戦隊モノはやりましたけど、最近ずっと日常の延長のお芝居をやっていたので、漫画の実写化とか、ロボットが登場するような非日常の世界とか、そういった世界で生きてみたいです」

『CODE-願いの代償-』に『下剋上球児』2023年は芝居漬け

――2024年がスタートして、ドラマ『となりのナースエイド』ゲスト出演での演技も好評でした。忙しい日々だと思いますが、心がけていることはありますか?

「2023年から24年にかけての年末年始はフラットな人でいることを意識しました。何も考えず、役者であることをいったん忘れる時間を作るというか」

――その必要性を感じたということでしょうか。

「2023年は今まで撮っていた作品が公開されたり、ドラマのレギュラーやゲスト出演があったり、その間に映画を撮影したり、『CODE-願いの代償-』や『下剋上球児』もありましたし、なんだかんだずっと芝居をしていました」

――デビューしての5年間の中でも、かなり忙しかった?

「忙しいというか、僕のことを見てもらう人が圧倒的に多かった年だと思います。そうすると評価も届いて来るし、配信作品なんかもあったりして、自分でもいつでも見返すことができて、反省もできてしまう。ニュース記事も入って来る。そうこうするうちに、この芝居のこのシーンは、前の作品の表情と似てないかなと思うことも出てきたりして。もちろん同じ人物でもなければ、同じ感情でもないんだけれど、変な型が出来てきてるんじゃないかという気がしました」

――“型”ですか?

「『下剋上球児』のときに、演出の塚原あゆ子さんにも言われたことがあったんです。“兵頭くん、得意な顔があってクセになってる”って。それを聞いたとき、1回リセットしたいと思ったんです。一度忘れて、毎回、“一年目です”みたいにならないとダメだなって。意識してフラットにしてみようって」

――そうなんですね。でも兵頭さんは、『五億円のじんせい』のときから拝見していますけど、はっきりしたお顔立ちなのに、役によって全く異なる印象を与えてくるので、すごいなと思っています。

「ありがとうございます。役によって印象が違うというのは、自分でもそうしたことを目標にしている部分はあります。僕らしさみたいなものを消して演じていきたいと、ずっと思ってやってきていて、ようやく最近、『ドロップ』とか『CODE』とかもですが、過去の作品と見比べて、“同じ人だったんだ”と言ってもらえるようになってきました。『五億円のじんせい』のときは、緊張して緊張して、どう歩いたらいいんだろうとなっていたくらいでしたけどね(苦笑)」

 髪を染めたり、眼鏡をかける、外すだけでも、まったくの別人へと印象を変える。加えて『下剋上球児』や『となりのナースエイド』のように表情だけでも見せる。普段はにこやかに、屈託なく笑い、「ロボットが苦手」と愛らしいところも見せる兵頭さんだが、俳優として強力な武器を持つ。可能性は無限大だ。

ひょうどう・かつみ
1998年4月15日生まれ、福岡県出身。2018年、GYAOとAmuse共同実施のオーディション、第1回「NEW CINEMA PROJECT」の出演者部門でグランプリを受賞。翌年、『五億円のじんせい』で俳優デビューを果たし、同年の特撮テレビドラマ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』カナロ/リュウソウコゴールド役でテレビ初出演、注目を集める。23年、ドラマ『下剋上球児』で演じた根室知廣役でブレイク。ほか主な出演作に映画『消せない記憶』『愛のゆくえ』、ドラマ『ブルーバースデー』『ドロップ』『ドラフトキング』『CODE-願いの代償-』など。主演映画『18歳のおとなたち』が公開中。さらに『みーんな、宇宙人。』が控える。

映画『18歳のおとなたち』
監督・編集:佐藤周 脚本:磐木大
出演:兵頭功海、三原羽衣、黒田昊夢、久田莉子、黒田アーサー、中島知子、雛形あきこ
(C) ゴールデンシネマ
配給:TOHOシネマズ新宿ほか 公開中