ネタを覚えていなかった単独ライブ
その後、トム・ブラウンは早々に単独ライブを決行。これを上京前の節目としたのだが、かなりのドタバタ劇があったという。
布川「みちおが本番の前日まで、ネタ8本のうち7本を覚えていなかったんですよ」
みちお「単独の夜に泊まり込みで練習して、ギリギリでした」
布川「当時は僕がネタを作っていたんですけど、どうにかしないとって。そのころ、コミュニティFMで番組をやらせてもらっていて、夜中は録音した音楽を流すだけだったから、放送局の空いている部屋を使わせてもらったんです。
ただ、みちおは誰かが見ていないとやろうとしない。なおかつ、男性より女性のほうがいい。しょうがないから知り合いのファニーリボンっていう女性芸人に来てもらって、ちゃんと練習しているかどうか見てもらっていたんですよ」
布川「なんとなくできる感じにはなりましたけど……。本番、みちおが1本目でちょっと間違えて、“まぁ大丈夫”と思って。そしたら、2本目と3本目でも間違えたんですけど、“オーケーオーケー”って言っていて。
7本目ぐらいで、僕が軽く噛んだんです。そうしたらみちおが寄ってきて、“噛んじゃダメでしょ”って。マジ、張り倒そうかと思いましたね」
「お笑いをやるなら東京で勝負するしかない」と、勢い込んで上京。みちおさんも「すぐ売れると思っていた」ようだが、現実は甘くなかった。最初こそオーディションライブに合格していたが、その後は落ち続ける毎日が続いた。