楽曲提供時に気を付けていること
また、声優で歌手の岩男潤子さんは、谷山さんの作詞作曲による楽曲を多く歌っている。かねてから作詞作曲家になりたかったという谷山さんにとって、岩男さんはどのような存在だったのだろうか。
「もともとは彼女が私のファンだったんです。そこでディレクターから“プロデュースしてみませんか?”と声をかけられました。最初は、“プロデュースなんて私にできるかな”って思ったんですが、トライしてみました。
彼女の1枚目のアルバムはすごくアイドル声優っぽい雰囲気だった。2枚目は斎藤ネコさんプロデュースで、私も2曲ほど書かせてもらったのですが、全体的に実際の彼女以上に大人っぽい内容でした。3枚目を私がプロデュースするにあたり “大人っぽい歌はこれから先にいくらでも歌えるから、20代の今のうちに思いっきりかわいい歌を歌おう!”って提案して、かわいいほうにイメージを寄せた歌を交えて、アルバムを作りました」
谷山さんの楽曲提供には、彼女なりのポリシーがあった。
「谷山浩子が歌うんだったら、どんな変な歌になっても自分の責任。ファンの方も受け止めてくれるので大丈夫ですが、提供曲の場合は相手に迷惑を掛けてはいけないって思っています。だからできるだけ多くの人に意味が伝わるように気をつけています。
歌詞については、ファンの方から嬉しそうに“わからない”って言われたりもします。そういうのはいいんですが、SNSなどを見ていると、普通に伝えたいことが伝わっていないと感じるケースが結構あって。だからスタッフの人に新しくできた曲を聞いてもらっています。その時に“谷山さんらしいですね”っていう言葉が返ってきたら、要注意。
たぶん、“〇〇さんらしい”って言葉って、誉め言葉ではないと思うんです。“良くない” というわけではないけど、その人にとってピンとこないとか、良し悪しを判断できないときに出てくる言葉だって受け止めています」