「どこまでが理解されるのか」を考えて作品を作る

――すごく自分のことを客観視されているのですね。

「自分では社会性が欠けているタイプだと思うので、世の中の人たちにどこまでが当たり前で、どこまでが理解されるのかっていうことについては一生懸命考えます。多様性の今の時代だったらどこまでいけるかと考えたりもするのですが、限度はあるなって感じていますね」

 近年は、声優で歌手の上坂すみれさんの楽曲も手掛けている。

「上坂さんも私のファンだと言ってくれて、コンサートを見に来てくれたんです。彼女はロシアが好きだったので『無限マトリョーシカ』っていう曲を書きました。ロシアっぽいイメージを意識しました。

 彼女のディレクターさんからの依頼が“不思議な森みたいな場所に、怪しい人形やキノコがあるイメージ”って言われたので、“任せてください!”って返しました。ディレクターさんの想定の斜め上をいってしまったかもしれませんが。

 その後には、コンサートのゲストにも来てもらいました」

 自身の楽曲への反響は、どのように受け止めているのだろうか。

「自分の曲への反響がわかるのって、最近ではSNSが中心なので、どういう年齢層の方が聞いているのかがわからない。でもキャラクターとかのイメージソングを探した時に私の曲を挙げてくれる方もいて、そういう聴き方をされているのは若い世代だと思います。

 あと、好きなミュージシャンを聞かれて、“古い人なので知らないかもしれませんが、谷山浩子さんです”って紹介しているのを見ると、嬉しいけれどちょっと待てってなりますね(笑)。でも、私のようなタイプの歌を作る人が若い頃はあまりいなかったのですが、今は同志が増えてきたっていう実感があります」

 最後に、今後の目標を聞いた。

「コロナ禍の影響もあって、今までそんなにコンサートができなかったので、行ける範囲で、もっと皆さんに会いに行けるようにコンサートをやりたいって思っています」

 谷山さんは歌うことが根本的に好きな人ではないのだろうか。インタビューを通して感じた、歌うことへの情熱。それが長きにわたる音楽活動の原動力になっているに違いない。

谷山浩子(たにやま・ひろこ)
1956年8月29日生。神奈川県出身。シンガーソングライター。中学在学中からオリジナル曲を作り始め、1970年にベイビー・ブラザーズのシングルで作詞作曲家としてデビュー。1972年4月25日、アルバム『静かでいいな 〜谷山浩子15の世界〜』とシングル『銀河系はやっぱりまわってる』で一度目のデビュー。1974年『第7回ポピュラーソングコンテスト』で『お早うございますの帽子屋さん』が入賞。同曲で翌年、再デビュー。1977年シングル『河のほとりに』をリリースし、3度目のデビュー。以後、「オールナイトニッポン」をはじめとするラジオ番組のパーソナリティ、童話、エッセイ、小説の執筆、全国各地でのコンサートなど、精力的に活動中。

「duo 20th Anniversary Live ROLLY & 谷山浩子」
日時:4月25日(木) 18:15開場/19:00開演
会場:Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
出演:ROLLY / 谷山浩子
お問合せ:duo MUSIC EXCHANGE 03-5459-8716

「谷山浩子 放課後の音楽室~佐山こうた先生と~」
日時:6月8日(土)17:00開場/17:30開演
会場:東京文化会館小ホール
出演:谷山浩子 / 佐山こうた(pf)
お問合せ:東京音協 https://t-onkyo.co.jp/

「谷山浩子 Billboard Live」
日時:2024年6月27日(木) 
1st ステージ 開場16:30 開演17:30/2ndステージ 開場19:30 開演20:30
会場:Billboard Live YOKOHAMA 
出演:谷山浩子 佐藤研二
お問合せ:ビルボードライブ横浜 0570-05-6565