『みずいろの雨』『パープルタウン』といったポップスで日本のニューミュージックシーンに登場した八神純子さん。聴く人を魅了するハイトーンボイスは今も健在だ。ブレイクから活動休止を経て、また再びステージへ。デビューから45年間にも渡る音楽人生の転機とは?【第2回/全4回】

八神純子 撮影:有坂政晴

 

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 八神さんの代表曲と言えば、『みずいろの雨』。高音の伸びが美しい楽曲だ。

「今は、音域が大事なのがわかるので歌う人を考えて作るのですが、あの頃は“自分が歌えるのなら、みんな歌える”って思っていました。でも自分で歌わずに曲を提供したら、作曲家になってしまうのかな……って気がかりでした。『みずいろの雨』は、レコーディングした時から“この曲はヒットするだろうな”っていう予感を抱いていました。でもそれまでの曲も、“売れるだろう”って思っていたのですけれどね(笑)」

 八神さんのブレイクのきっかけともなったテレビ出演。しかし最初は苦痛に感じていたそうだ。今では世代を問わずに音楽に親しめる機会だったとも感じているという。

「高度成長期は、テレビが家庭に1台しかなかったから家族みんなで観ていた時代。それこそ、最初は録画もできなかったから、観たい番組までにやらなきゃならないことを終わらせていましたよね(笑)。そうやって、テレビを家族でわかちあうような時代だった。その中で音楽には、世代を超えたエンターテイメントという役割があった気がします」