憧れのホールでのライブ「やっと自分の番が回ってきた(笑)」
八神さん自身が手掛けるコンサート。どのような思いが詰まっているのだろうか。
「これまでもコンサートはやっていましたが、全国各地を回るツアーは、アーティストに魅力がないと組めないんです。でもツアーをやりたいってなると、どうすれば良いのかっていうところからスタートしました。
自分でコンサートを主催するので、シリーズ化できるようなコンサートを目指したんです。でもそのためには、リスクも負わなきゃいけない。会場の手配からチケットの販売方法、チラシも全部自分たちで用意しなければならない。もちろん、やってみないとわからないこともいっぱいあります。
コンサートを主催してみてわかったのは、スタッフが一丸となって同じ方向を見ているプロジェクトは上手くいく。そういう時は、みんな夢中でやっているから、リスクが怖くなくなっている。リスクを負うのが怖い間は、夢中になっていない。だからパワーも足りないんです。でも会場を借りてコンサートをするって、“お客さんがどのくらいくるだろう”って考え始めたら怖くなる。だから恐怖を感じたら夢中になっていないのだって考えるようになりました」
八神さんは「恐怖に打ち勝つためには、とにかく動き続けること」と明るい笑顔で語る。
「動き続けるためには、何でもいいから人に会いに行ったり、働き続けてみる。アドバイスをしてもらったり、お願いをしに行ったりとかね。そうやって動いているうちに、だいたい恐怖はなくなっていって、“失敗しても楽しいだろうね”って思えるようになるんです。やらないよりは絶対にやった方が良い。私の中で迷ったら、やらないっていう選択はない。必ずやるっていう選択をしてきた10年でしたね」
常に新しい挑戦をしているという八神さん。7月5日には「八神純子 キミの街へ 2024 ~Share the moment with you~」という新しいタイトルのコンサートを群馬県の高崎芸術劇場で開催する。
「高崎芸術劇場は、ずっとやってみたかった憧れのホール。“今度素晴らしいホールができる”って主催者の方から聞いていたんですが、何年か前にやっと完成して、最初に歌われているのが高橋真梨子さんだという話も聞きました。コンサートが決まった時は、やっと自分の番が回ってきた(笑)って喜びました」
2019年9月に開館した高崎芸術劇場は、地元の高崎市民はもちろん、全国、世界からたくさんのアーティストや観客が集う。「大劇場」、「音楽ホール」、「スタジオシアター」の主要3ホールで構成され、そのホール機能は国内有数。今回、八神さんのコンサートが開催されるのは国内最大級の舞台面積と舞台間口の広さをもつ「大劇場」だ。八神さんの圧倒的な歌唱力とヤガミグミの迫力ある演奏をこの劇場で体感できる。
「群馬ではこれまでもギターとピアノだけのコンサートはやってきたのですが、今回はギター、ベース、ドラム、キーボードとフルバンドで演奏します。これまでギターとピアノだけの演奏しか観たことがなかった人にも、初めてバンドスタイルで聞いて頂く機会ができる。それが嬉しいです。そして、『TERRA ~here we will stay』という、これはもう日本だけじゃなくて、海外にも届ける私の使命を感じた作品なんですけど、それをフルバンドで、高崎で届けるっていうのは、私にとって来る時が来たかみたいな感じで、すごい楽しみなんです」
晴れ晴れとした表情で語る八神さん。聞いていた取材陣も元気づけられるインタビューだった。
八神純子(やがみ・じゅんこ)
1958年1月5日生。愛知県出身。シンガーソングライター。高校在学中からコンテストに出演し、1974年『第8回ヤマハポピュラーソングコンテスト』に出場し優秀曲賞に入賞。1978年『思い出は美しすぎて』でプロデビュー。以来、『みずいろの雨』『パープルタウン ~You Oughta Know By Now~』などヒット曲を生みだす。1986年にアメリカに移住。現在も海外と日本を行き来しながら音楽活動を続けている。
『八神純子 キミの街へ 2024 ~Share the moment with you~』
【日時】2024年7月5日(金)16:45開場/17:30開演
【会場】高崎芸術劇場 大劇場
https://www.wowowplus.jp/entertainment/event/junkoyagami2024takasaki/