畑に行けなくなって「隣のオヤジが全部やってくれた」

「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」とか言って静岡のバカな知事が辞任することになったんですけど、「あいつ農業やったことないんだ」って、私は真っ先に思いましたね。
 農業は知恵比べなんです。しかも、相手が自然なんで、本当に思い通りにならないんですよ。私はまだ下手クソなんで、その収穫まで自分のプラン通りにいく確率って、今でも半分ぐらいしかないんです。

――なるほど。

 でも、だからこそうまくいったときの喜びが半端じゃないです。

――病気になられて以降、畑のほうは大丈夫なんでしょうか。

 畑に全然、行けなくなって、土地を借りている地主に顔向けできねーなって思っていたんですが、先週、畑行ったら、もうスナップエンドウは植わってるわ、イモは植わっているわ。もうちゃんと畝が立っていて、隣のオヤジが全部やってくれていた。まあ、基盤はできていたんですけど。
 あと、もう3週間ぐらいたったら、トマトとかきゅうりとかナスとか、あとスイカとかゴールデンウィークちょっと前ぐらいに全部植えて、今年は超ラクです。そんなこと言うと、怒られちゃうけど(笑)。みんな支え合っていて、私のことも支えてくれるんですよ。それが大都市にはないんですね。
 東京のマンションに事務所があるんですが、周りに誰が住んでるのか、一人も知りませんし。

もりなが・たくろうプロフィール
1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社。その後、日本経済センター、経済企画庁、三和総合研究所などを経て、2006年から獨協大学経済学部教授に。昨年、財務省の暗部に斬り込んだ『ザイム真理教』(三五館シンシャ)がベストセラーに。今年3月には日本の3大タブーとされるジャニーズ事務所の性加害、財務省の財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事故について迫った書籍『書いてはいけない』(三五館シンシャ)が14万部を超えるベストセラーとなっている。2023年12月、ステージ4のがん告知を受ける。