ファンからの励ましの手紙が困難を乗り越える力に
そんなファンとの絆が強まったと和央さん自身が感じる、“事件”がある。それは’05年12月のこと。退団公演『NEVER SAY GOOD BYE-ある愛の軌跡ー』を’06年3月に控えるなか、和央さんはライブコンサート公演『WーWING』でフライング装置から落下し、骨盤などを骨折する大ケガをした。
「入院することになって、お医者さんには“公演初日に舞台に立つのは無理だ”と言われました。でも私自身、長く宝塚にいさせていただいていたので、“もうこのまま辞めてもいいかな”と思ったんですよね」
トップスターとして長年走り続け、もう何ひとつ後悔はなかった。このまま退団公演をせず、退団するか——。その思いを覆したのが、ファンから届く手紙だった。
「入院中は体をまったく動かさず安静にしていたので、ファンの方から届くお手紙を読んで過ごしていたんです。退団公演をやらないことに私が後悔しなくても、ファンの方々が後悔する。そう感じました。やるしかないと決意して、そこからはとにかく必死。リハビリも、公演中もつらかったけど、何とか乗り越えられたのはファンの方々のおかげであり、あのとき同じ舞台に立っていたみんなのおかげです」