「あのときの若さはないけれど」フェルゼン役への思い

「私が演じた『ベルサイユのばら フェルゼンとマリーアントワネット編』から、もう20年以上たっているんですよ。同じ衣装を着て、同じ踊りをする自分を褒めてあげたい(笑)。でも、年を重ねたいまだからこそ、自然に出るものがあると思うんです。

 あのときの若さはないけれど、さまざまな人生経験を経て、当時なかったものが出てきたらいいな。私は常にいまの自分を好きでいたいと思っているので、“いまのフェルゼンのほうが好き”と自分が思えるよう、演じたいですね」

 常に「いまの自分」を更新し、愛し続ける和央さん。最後に、今後の目標を聞いた。

「舞台に、モデルに、いろいろなことに挑戦していきたいです。一番大切で自分の軸である、結婚生活を保ったうえで。 あと目標といえば、大好きなミュージカル『ドラキュラ』にもう一度携わることかな」

和央ようか 撮影/三浦龍司

’11年と’13年に和央さんが主演のドラキュラ伯爵を演じた、ミュージカル『ドラキュラ』。宝塚歌劇団を退団し、初めて男役を務めた作品だ。

「演じた作品をまた、と思うことはあまりないのですが、『ドラキュラ』に対しては特別な気持ちがあります。繊細で、美しくて、残酷で。夫のフランクさんが手がけた曲も本当にステキで、大好きな作品なんです。“無償の愛”という、いまもこれからの時代にも、忘れてほしくないテーマ。主演とは限らず、いつか何かしらの形で作品に携わるのが、夢ですね」

 気取らず、自然体で自身の「男役」を創り上げていった和央ようかさん。舞台での円熟した姿を、多くのファンが見たいと望んでいることだろう。

和央ようか(わお・ようか)
大阪府出身。74期生として宝塚歌劇団に入団し、雪組に配属。1998年宙組創設メンバーとして組替えすると、’00年にはトップスターに就任。’06年『NEVER SAY GOODBYE- ある愛の軌跡-』で退団後は、舞台だけでなくモデルとしても活動する。’15年に作曲家のフランク・ワイルドホーン氏と結婚し、現在は米国と日本を行き来する生活。そのライフスタイルも注目を集める。

●作品情報
「ベルサイユのばら50 ~半世紀の軌跡~」
【原作】:池田理代子「ベルサイユのばら」
【監修】:植田紳爾
【構成・演出】:谷正純
【日程】:梅田芸術劇場メインホール 2024年5月14日(火)~19日(日)
東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 2024年5月26日(日)~6月9日(日)
【HP】https://www.umegei.com/versailles50/