寄り添う立場を演じる難しさ

　年齢的にフィットした役柄ではあるが、演じるには独特の難しさがあるという。

井浦「大迫の役はしっくりはきてないですね…難しいです。『最愛』のときの、鎧を着たナイトのような立場なら振り切れるんですが。今回着ているのは白衣ですし。日常生活や仕事の中で保護者のように寄り添っていく、もしくは見守っていくというお芝居より、剣を振りまわしているほうが楽だと正直、思ったりもします。人と人の心が触れ合ったりぶつかったり、人間が作る物語だからこそ、保護者としての立ち位置やその出し方っていうのは、やりすぎると面白くないと思うんです」

　芝居に対するその考え方は、昨今のドラマの質の変化にも影響されているようだ。

井浦「今のドラマは僕が子どもの頃に見ていた昭和のドラマとは、だいぶ変わっています。ドラマっぽいわかりやすい芝居が、昨今はもう通じないというか。ドラマだからおおげさにやらなければならない、というものより、もっと複雑になっていますから」

『アンメット』、そして芝居について真摯に語ってくれた井浦さんは、杉咲さん以上にまじめな人かもしれない。難しいという大迫の役を井浦さんがどう演じるのか、注目したい。

（ヘアメイク：近藤あかね、スタイリスト：椎名倉平）

井浦新（いうら・あらた）
１９７４年東京都生まれ。１９９８年、映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。アパレルブランド〈ＥＬＮＥＳＴ ＣＲＥＡＴＩＶＥ ＡＣＴＩＶＩＴＹ〉ディレクター。サステナブル・コスメブランド〈Ｋｒｕｈｉ〉のファウンダー。映画館を応援する「ＭＩＮＩ ＴＨＥＡＴＥＲ ＰＡＲＫ」の活動もしている。
『アンメット ある脳外科医の日記』（カンテレ・フジテレビ系）では、主人公・川内ミヤビの主治医で脳外科教授の大迫紘一を演じる。

■作品情報
『アンメット ある脳外科医の日記』
毎週月曜日　よる１０時～放送中
最新話配信中：https://tver.jp/series/srwy1lb14d