ホントに[今村コーナー]を作ってくれた書店さんがあった

昌弘「僕は大学時代はチームスポーツをやっていて、そういうのとは違う、自分ひとりだけでできることをやってみたいなと思って小説を書き始めたんですけど、音楽って、メンバーがいないと成立しない部分もありますよね」

川西「民生はソロもやってるでしょ。よく“いや~、ユニコーンは楽だわ~”って言ってる。ソロは作品を書くのもひとりで、責任も負うし、悩んだときなんかは、バンドならみんなであれこれ言って“いいか、オレは”ってできるけど、ソロだとそうはいかないし、大変だと思うよ」

―――翔吾先生が昨年のイベントで「もうひとり入れて3人でやりたい」というアイデアを披露して、ついに実現しましたね。

翔吾「僕らや今村夏子さんがデビューするまで、作家に“今村姓”ってほぼいなかったんですよ、別に珍しい名字でもないのに。夏子さんがデビューした5年後くらいに僕らがデビューして、急に“今村”が増えだしたんだよね」

昌弘「最初に翔吾さんと会ったときに“夏子さんと我々とで[今村コーナー]作ってくれへんかな”って言ってましたよね」

翔吾「そしたらホントに作ってくれた書店さんがあった(笑)。実は作家としてデビューして、7年経っても生き残ってるっていうのがスゴイんですよ。僕らの同期は7割くらいは消えたんじゃないかな。残ってる同期同士で、お互いに頑張らなアカンな、みたいなところはあるよね」

―――川西さんは昌弘先生の本も全部お読みになったそうで。

昌弘「ありがとうございます」

川西「ほんとはもっと読みたいんだけどね」

―――でも、まさかゾンビが推理小説に出てくるとは思わなかったです。

昌弘「新しいトリックを考えようとしても、出尽くしてるから、思いつかないんですよ。壁の代わりになるもので周りを囲まないとしゃーない、そのときに浮かんだのがゾンビだったんです」

―――そのゾンビが出てくる部分が、コロナ禍の状況を表しているような感じがしました。なんだか予言めいてますよね。

昌弘「映画が公開されたのがコロナ禍の直前だったんですよ。2019年の12月から公開されて、2月の頭くらいまで上映してたのかな。もうギリギリでした。もしかしたら、人に感染して殺人事件が起こるという内容が、タイミングによっては不謹慎だとなっていたかもしれないですね」