2010年頃より活動を本格始動したでんぱ組.incは、ゲームやアニメなどオタク趣味を持つメンバーが中心となり、既存のアイドルファン以外にも人気を拡大していった。’14年に日本武道館ライブを達成すると’15年にはワールドツアーも敢行するなど、国内外を問わず人気を獲得している。そのでんぱ組.incのメンバーであり、グループの中心的存在である古川未鈴(ふるかわみりん)。普通の少女がアイドルになるまでの転機とは?【第1回/全5回】

古川未鈴 撮影/冨田望

「私は、本来だったらアイドルには絶対にならなかった人間だって思うんです」

 少し照れながらそう語るのは、女性アイドルグループ『でんぱ組.inc』のメンバーである古川未鈴さん。ファンの間では、未鈴さんが「アイドルをやめたら死ぬしかない」と公言してはばからないことが知られているが、“アイドルにならなかった”はずの人物はいかにしてアイドルになったのか?

「子ども時代は、転勤族だったのでいわゆる友達がいないタイプでした。その中でいじめみたいなこともあったので、学校に行くのが本当に嫌だって思っていました……。そんなときに自分を勇気づけてくれたのがモーニング娘。さんやSPEEDさんでした。

 キラキラとすごく輝いていて、まぶしかった。そのときに、“私は学校ではいじめっ子に言い返したりもできないけれど、アイドルになって彼女たちみたいに輝けるようになれば、私をいじめてきた人を見返せるんじゃないか……”そう思って、復讐心から“アイドルになりたい”って気持ちはスタートしました」

 アイドルになりたいと熱望する未鈴さんだったが、モーニング娘。やAKB48のメンバー追加オーディションは落ちてしまった。そこで、たどり着いたのが秋葉原だった。未鈴さんが所属しているでんぱ組.incを始め、虹のコンキスタドールなど複数のアイドルグループを擁するディアステージは、秋葉原に常設のライブスペース兼バーを持っていた。そこでは、アイドルの卵たちも働いていた。