「いろいろ人としてどうかしていました」

 その後、2017年5月末に当時のコンビを解散、同年に小野島さんとのコンビ・駆け抜けて軽トラを組むことになり、小野島さんが餅田さんのやる気のなさに手を焼いていたのは前述の通りだ。

小野島「いろいろ人としてどうかしていました。LINEのやりとりも、“小野島さん”、“ヤバい”だけ送ってくるんです。要件を言ってくれないと、なにがどうヤバいのか言ってくれないと話が始まらないのに、毎回そこから始まる。"要件を言ってくれ”と何度も言いました」

餅田「そういうことも含めて、小野島さんと出会っていなかったらそのまま単なるヤバい人間だっただろうし、お笑いの楽しさも知らなかった。小野島さんが“おまえのおかしいところがおもしろい”とずっと言ってくれていて、“芸人はそういうところが武器になる”と教えてくれて。いまでもあまり理解できていませんが、ずっと教えてくれたから、それがあったから今まで続けて来られたんです」

 小野島さんの"育て”の甲斐があってか、芸人としての意識が徐々に芽生え始めた餅田さん。一方で小野島さんも、餅田さんとのコンビ結成が自身に変化をもたらしていた。

駆け抜けて軽トラ・小野島徹 撮影/三浦龍司

小野島「それまで僕は、“劇場だけで評価されている芸人”で、外に出たら誰にも相手にされていない、という感じでしたから。自分が楽しければいい、自分が納得できるものさえ出せればいい、と思っていました。でも餅田さんと組むことになり、まんべんなく人に伝わるようなネタを意識して作りはじめるようになって、加藤綾子さんのものまねネタが生まれて、評価されて、“こういうことか!”とだんだんわかってきたんです。仕事って、こういうふうにするんだ、という感覚が掴めた感じです」

 この人と出会っていなかったらーー。ふたりが口を揃えて言うなんて、奇跡的なコンビと言っても過言ではない。

駆け抜けて軽トラ(かけぬけてけいとら)
小野島徹(おのじま・とおる)。1987年9月16日生まれ、埼玉県出身。
餅田コシヒカリ(もちだ・こしひかり)。1994年4月18日、宮城県出身。
2017年にコンビを結成。餅田さんによる、フリーアナウンサー加藤綾子さんにそっくりな顔と、似ても似つかないボディのギャップで一躍人気に。2019年12月14日放送『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内の『博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~』で優勝。以降、同番組の常連。