「ゴリゴリのアンチ」その正体とは…?
アンチの正体は、古参のクロちゃんファンだった。だからこその高い熱量で、クロちゃんにぶつかっていったのである。以降も、たびたび事務所に電話がかかってきたが、じょじょに変化が見られるように……。
マネージャーK氏「(話すうちに)なんか、仲良くなっちゃったんですよね(笑)」
こうしてクロちゃんはSNSをやめずに済むことになった。しかし、コメント欄は相変わらずアンチコメントであふれて、クロちゃんは逐一コメントとアカウント名をチェックし続けた。
「『水曜日のダウンタウン』の嘘ツイートで大炎上した1ヶ月後くらいに、大阪でファンの方と触れ合うイベントがあったんですよ。そうしたらおばちゃんが来て、“私クロちゃんのツイッターにひどいことを書いてるよ!”と言うんです。アカウント名を聞くと、ほんっとうに3本の指に入るくらいのバリバリの罵詈雑言を書いている人で。
“え! なんで来たの!? 僕刺されるんじゃない!? 怖い!”と思っていたら、差し入れをくれて。中には、番組で食べていたグミと、“風呂場にカビがある”と言っていたからか、カビキラーが入っていて。あとは、リップクリームが1本入っていました」
そういえば、と思い返すと、クロちゃんはイベント前日に唇を傷つけていた。そのことを口には出さなかったが、よくよく見れば唇の傷が見える写真を投稿していたのだ。
「ゴリゴリのアンチだと思っていたけど、アンチじゃなかったんです。“ファンなんだ!”と思ったらうれしくなりましたね。
一昨年、僕がコロナ陽性になって入院しなきゃいけなくなったとき、“コロナになったのでツイートできません。みなさんも気をつけてくださいね”と書いたんです。そしたら、“勝手なこと言って生意気だぞ!”という、いつもどおりのコメントとともに“お前は俺の生きがいだから早く元気になってくれ”“早く戻ってきてくれ”と、心配してくれたんですよね。
それで、早く元気になろうと思って退院して再開したら、みんな溜まっていたんでしょうね。5倍くらいの罵詈雑言が届いて、ネットニュースに『クロちゃん、退院で大炎上』と書かれました(笑)」
ーー愛情の裏返しなんでしょうか(笑)。
「よく言いますよね、一番怖いのは“無関心”だと。嫌われているということは意識しているということで、意識しているということは好きになる可能性があると。その逆もしかりだけど。僕のことを嫌いで見ている人もいるかもしれないけど、じょじょに好きになっている可能性があるなら、続けてよかったなぁと思います」
愛のあるアンチとの攻防を繰り返しているうち、炎上するラインも見極められるようになったという。
「お風呂でヤクルトを飲もうと思って、浴槽のふちにヤクルトを置いて入ろうとしたら、浴槽の中に落ちちゃったんです。その様子がちょっとかわいいと思っちゃったので、“ヤクルトさんが泳いでるしん”みたいなことを書いたら、炎上したんですよね。“食べ物で遊ぶな!”と。
僕はそのときは“故意じゃないからいいじゃん!”と思いましたが、みんなは僕がわざと落とした=食べ物で遊ぶヤツ、と思ったんだと気づき、これはよくないなとわかって。食べ物に限らず、そういうふうに見える、誤解を招くような投稿はやめようと思うようになりました」
ーールールができたのですね。
「それもフォロワーさんに鍛えられた感じがしますね。そういう意味では、『水曜日のダウンタウン』と同じで、腹は立っているけど感謝している部分もあります」
日々、手を抜かずにポストをし続けるクロちゃんの背景には、アンチ……という名のアツいファンの存在があったのである。
クロちゃん
1976年12月10日生まれ、広島県出身。2001年、団長安田、HIROとともにお笑いトリオ『安田大サーカス』を結成。コワモテフェイスとギャップのあるハイトーンボイスが特徴で、近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で大ブレイクし、「愛すべきクズキャラ」として人気を集めている。アイドル好きとしても知られ、アイドルグループ『豆柴の大群』アドバイザーとしての顔や、アイドルフェスプロデューサーとしても才能を発揮している。