「感覚を研ぎ澄ます」
そうした環境の中で、中川さんは舞台の上で“感覚を研ぎ澄ます”ということを大切にしているという。この体験について、中川さんは丁寧に説明してくれた。
「公演が始まると、稽古してきたセリフや段取りを毎日披露していくわけじゃないですか。それまでにきっちり作り込んできたから、本来は何か新しいことをやってやろうとか、どこかを変えてやろうなんてことは思わないんです。
でも、同じことを繰り返していく中で、実は昨日とは違う何かを感じたりする意識が研ぎ澄まされていくことがあるんですよね。僕は直感で何かを捉えることが多いので、舞台に立った時の香りとか空気で、今日入っているお客様がどういう方たちなのかっていうことが、意識として自分の中に入ってくることもあります」
長いときには1か月以上同じ演目を続けていくこともある舞台の公演。そんな中で、昨日とは違う何かを生み出すため、このような意識を持つことが重要であると、中川さんは指摘する。