“体作り”より“精神面を鍛える”目的で始めたジム通い
2010年に公開された映画『ボックス!』はボクシングを題材にした青春映画だったが、この映画に合わせて市原さんの体作り=ジム通いは始まったと言われている。
「ジムに通い始めたのは“体作り”というよりは“精神面を鍛える”という部分が大きかったと思います。20代前半の僕は、プレッシャーに押されて涙が止まらなくなることもありましたし、走っても走っても眠れない日々を送ることもありました。それで、何かひとつ軸として支えになるものを作らなければならないと考えたんです。そのひとつがジム通いでした。ひとつひとつ、コツコツコツコツ自分を追い詰めて、そこを少しずつ超えていく……その結果として、その積み重ねが自信につながると思っています」
そんな市原さんも俳優を始めて20年以上が経った。その間に様々な作品に出演したが、2019年から始まったドラマ『おいしい給食』シリーズは、市原さんの新たな魅力を引き出す作品となった。1980年代の中学校を舞台に、誰よりもこよなく給食を愛する教師・甘利田幸男と、「給食マニア」の男子生徒が、いかに給食を「おいしく食べるか」を競い合う……といった学園グルメ・コメディだ。
真の主役は毎回登場する給食だ。「ミルメーク」、「ソフトめん」、「鯨の竜田揚げ」……といった、昭和世代の視点から見ると、思わず”懐かしい“と思える献立の数々。だが、それらを、市原さん扮する甘利田が振り切ったアクションで食べ上げるシーンは爆笑というか、爽快感すら覚える。そんな『おいしい給食』は作品を重ねるごとにファンを増やし、昨秋にはシーズン3が作られた。
「ドラマのシーズン3が作られるという話を最初に聞いた時は、第3弾を作る意義というものをしっかりと見出せられるのかという不安が強かったです。僕の中では毎シーズンやり尽くす思いでやってきましたので、体力面でも精神面でもこれ以上続けられるのか、保てるのかというのもありました」