目標達成のコツは「描かないこと」

 ひたすら一生懸命に努力を重ねた宝塚時代と比べると、いまはモチベーションに変化はあるのだろうか。

「宝塚のときは、寝なくてもやる! というぐらい体育会系の部分がありましたが、いまは、だんだんと自分の身体を労わりながらコンディションに気を付けつつ、やるようになってきました」

 柚希さんに、これまでの活動を振り返ってもらったが、一度も「つらい」や「辞めたい」という言葉が出てこなかった。それだけ、目の前のことに邁進していたという。

「宝塚時代は、トップとしてのゴールに向かってずっと走り抜けてきた。でもこれからは、自分でゴールを決めない限りは、ずっといまの自分と向き合いながら頑張り続けていかなければならない。若かったころの短距離走ではなくて、もう少し中期的に活動していくために心も体も大事にするようしています」

 いつまでも変わらずアグレッシブなステージを見せてくれる柚希さん。今後はどのような展望を抱いているのか。

「今後の展望とか、長期的に目標にしていることはないですね。目の前のことに全力で取り組んでいれば、それがまた次につながっていくと思っているので。だから、トップになったときも、周りから“これは思い描いてきた道ですか? “って聞かれたこともあったのですが、まったくそうではなかったんですよね。
 宝塚時代は、目の前にある目標に自分の実力があまりにも届かな過ぎて、いつも初日の舞台までに間に合わないんじゃないかっていう、焦りがある日々でした。2番手時代も、目の前にあることを本気で頑張り続けないと目標以上にはたどり着けないと思っていました。だから、ずっと先を見るよりも、こうなりたいという目の前の目標に向けて頑張っていたら、どんどんそれが良い方向へつながっていった。先のことを描いた方がいいという本なんかもありますが、描かないことも良いのかもしれませんね」