オーディションに合格した直後に訪れた大きな分かれ道
念願かなって、ジャネット・ジャクソンと一緒に踊れた…、そう簡単に物事が運ばないのが、仲宗根さんのライフストーリーのユニークなところだ。
「ジャネットのチームは、切れそうだったビザ取得もサポートしてくれました。そのとき、実はブリトニー・スピアーズのワールドツアーに参加しないかというオファーをいただいていたんです。自分としては、ビザまで用意してくれた敬愛するジャネットとの共演を希望し、ワールドツアーは断るつもりでいたんです。
でも、ジャネット側から“今回のプロジェクトは1回限りのもの。ブリトニーは世界的なスターで、ワールドツアーに帯同することはダンサーとしてすごく大事な経験になるはず。私たちとはまたきっとチャンスがあるから”と背中を押してくださいました。とてつもなく器が大きいなと思いましたね。
それでも、ジャネットと踊りたい気持ちは残りましたが、ワールドツアーに参加し成長することがジャネットの想いに応えることにもなると思い、ワールドツアーを選びました。これこそ、大きな分かれ道、“THE CHANGE”ですね。すごく迷って悩みましたが、アドバイスを受け入れて本当によかったと思います。
実際、ワールドツアーでは学ぶことがたくさんありました。リハーサルの仕方や、ハードル高い振り付けを短期間で自分のものにするスキルなど、プロフェッショナルの世界を見ることができたからです。そうした臨機応変さは、後々自分でもコンサートの演出を手がけるようになって役立っているなと感じます」
(つづく)
仲宗根梨乃(なかそね・りの)
1979年6月11日沖縄生まれ。マイケル・ジャクソンに憧れ、エンターテイナーになる事を夢みて19歳で渡米。バックダンサーとしてブリトニー・スピアーズ、グウェン・ステファニーのワールドツアーや、ジャネット・ジャクソン、ミッシー・エリオット、ジャスティン・ビーバーなど数々のアーティストと共演。2008年、SHINeeのデビュー曲『Replay』でコレオグラファー(振付師)としてデビュー。これをきっかけに、多くのK-POPアーティストの振付依頼を受ける。2009年には少女時代のシングル『GENIE』の振付を行い、彼女たちの長い脚を生かした“美脚ダンス”が日本でも話題に。その後も数々の振付やコンサート総合演出を行う。現在もLAを拠点に審査員や、舞台、TV、女優業とさまざまな分野で活動中。