日本の恋愛リアリティ番組の先駆けといえる『テラスハウス』(フジテレビ系)。複数人の男女がシェアハウスで同居し、さまざまな人間模様を展開する様子を映し出し、2012年から2020年まで放送された。そのセカンドシーズンとして位置づけられている『TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY』に出演し、卒業時にはキャストのYOUさんが涙するなど視聴者のみならずスタジオのタレントにも支持され、いまも番組ファンから絶大な人気を誇るのは、建築家の半田悠人さんだ。テラハが半田さんにもたらしたTHE CHANGEとは、なんだったのか。【第2回/全5回】

半田悠人 撮影/三浦龍司

 現役の藝大生だった2015年、『TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY』(フジテレビ系)に出演し、落ち着いた雰囲気と地に足のついた将来像、そしてメンバーをまとめる発言力などが際立ち、スタジオのタレントたちから“Mr.パーフェクト”と呼ばれ視聴者からも高い人気を誇った、建築家の半田悠人さん。当時27歳で、藝大卒業後は「ハーバード大学を目指している」と話したことも、“パーフェクト”キャラを加速させた。

 一方で藝大卒業後はハーバード大には行かず、建築とグラフィックデザインを手掛ける総合芸術制作会社「デリシャスカンパニー」を設立した。「ハーバードに行っていないよね?」という声が、本人に届くことはあったのだろうか。

「そういう声があったかどうかは、わからないですね。一時期からSNSのDMもまったく見ていないし、エゴサもしていないし。言っている人はいるとは思うんですが、でも僕、まだ諦めていないんですよ」

 当時半田さんが「ハーバード大」を目指していた背景には、2014年に株式会社ユニクロが創立した、日本人私費留学生を対象とした奨学金プログラムがあった。

「ユニクロの柳井正さんが、ハーバード大学の経営大学院(Harvard Business School)か、 デザイン大学院(Harvard Graduate School of Design)の留学生にだけはお金を出す、と言っていたんです。

 だからハーバード以外の選択肢がなかったんです。そうでなければ、イェール大学やコロンビア大学も選択肢にありました。実際にイェール、コロンビアなどについても話はしたんですが、番組では“ハーバード”が分かりやすく使われてましたよね」

 支援を受けられるのは、2015年度は計6人、選考には建築家の伊東豊雄さんが関わると知った半田さんは、伊藤さんに会いにいったという。

「伊藤さんが、“最終面接まで来たら、絶対に通してあげるよ”と言ってくださって。あとは勉強だ! と思って超スパルタの英語塾にも通っていました。けど、テラスハウスに出ることになって、塾に通えなくなってしまったんですよね。電車に乗れなくなってしまったし」