忘れられない1度目の藝大受験、合格発表の日

半田悠人 撮影/三浦龍司

ーー学費がいちばんの志望動機だったんですね。

「そうですね。基本的には自分で払うので、その辺りは切実でした。藝大は天才が集まる場所だけど、徐々にその感覚に自分も追いついているかもしれない、と思えて、なんて幸せなことだろうと思いました」

 半田さんが、「忘れもしない」と続けるのは、合否発表日の日付。3月13日だった。

「僕が1度目の受験で藝大に落ちたのは3.11の2日後。"ほんとうに合否発表はあるのか?”という雰囲気のなか合否を見にいって、落ちて。気分がずどんとして。だから日付が忘れられないんです。

 そして翌年の合格発表も同じ日で、合否を見に行くと、予備校の先生……つまり藝大の友だちが、僕が掲示板にたどり着く前にやってきて、"おまえ、受かっているぞ”と教えてくれて。“わかったけど、まずは自分で見に行かせてくれ”と言いました」

 その目で確かめたのは、大学2年生のときから見据え続けた、未来への一歩目。この経験を半田さんは、「これが僕のTHE CHANGEかもしれないです」と話す。

「藝大に入ったこと……いや、藝大じゃなきゃいけなかったわけではないし、大学を特定したくないな。そうですね、ふたつ目の大学に入った、ということが、僕のTHE CHANGEです」

はっきりと目的を持ち、実現のために順序立てて行動する。なんでもないように語る半田さんだが、その行動力はなかなか真似できるものではない。

はんだ・ゆうと
1988年生まれ、神奈川県出身。建築家。総合芸術制作会社「デリシャスカンパニー」代表。2016年に『TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY』(フジテレビ系)に出演。2020年2月にDream Amiさんと結婚し話題になった。