1990年代に、“バラドル”としてお茶の間に親しまれ、いまなお精力的に活動する森口博子さん。歌手としての表現力の高さにも定評があり、アニソン歌手としても国内外で多くのファンを獲得している。
 多忙かつ充実した毎日の中で、全力で仕事と向き合ってきた森口さんだが、「10代や20代のころとは違って、心身の調子がどうしても上がらないときもある」と感じるようになったそう。そんなとき、どうやって自分を奮い立たせているのか、森口流の秘けつを聞いた。【第4回/全5回】

森口博子 撮影/有坂政晴

最近は推されるだけでなく、推し活にもハマっている

「生きていると、“毎日がハッピーなことばかり”とはいきませんよね。私は、お客様の笑顔と拍手が大好物なので、コロナ禍でコンサートができなくなったとき、すごく不安でした。ファンの皆さんに会えないことが、声を聞けないことが寂しくて。コンサートはお客様と一緒につくっていくものだと、いままで以上に実感しました。そんなとき、たまたまYouTubeで保護犬の動画を見てほっこりしたり、その子たちの成長に涙したり。生きようとするエネルギーに心が震えました。
 最近はK-POPアイドルのサバイバルオーディション番組を見て、突然“推し活”に目覚めたんです。自分にはこれまで趣味というものがなかったのですが、自分のこと以外に夢中になれるものがあるって、張り合いになるし気分もリフレッシュできるんですね。それは新たな発見でした。推しがいるって最高! 純粋に心と身体に元気を与えてくれます!! いまでは暇さえあれば、そのハマったガールズグループ・ILLIT(アイリット)をチェックしていて、マネージャーさんにあきれられるほど(笑)。
 これまではお仕事が楽しくて、趣味らしいものも持たずただただ突っ走ってきました。だからいい大人になっても、気持ちの切り替え方も知らず、リラックスしたりリフレッシュすることの大切さにも気付けませんでした。でも、自分が熱中できる推しを見つけたことで、ファンの皆さんの気持ちがより理解できるようになりましたし、スイッチを切り替えることで、さらにお仕事に集中できるなど、相乗効果を感じています」