テレビをつければその顔を見ない日はないどころか、1日に二度や三度も見ることがあるほどの売れっ子であるやす子さん。老若男女、幅広い層から愛されるやす子さんの魅力は、どうやって形づくられたのか? 鬱屈(うっくつ)していた高校時代からスターダムを駆け上がった日々でのCHANGEを聞いてみた。【第2回/全3回】

やす子 撮影/有坂政晴

心の師、ハリウッドザコシショウ

 2019年にデビューしてからわずか5年弱で、最も忙しいお笑い芸人にまで昇りつめたやす子さん。しかしもともと芸人になるつもりはなく、友人に誘われるままコンビを組んでライブに参加したところ、その友人は来ず。仕方なくひとりで舞台に上がったのが、芸人としての始まりだった。

「なりゆきで芸人になったようなものなので、デビュー当初は本気でやっていなかったですね。面白くなろうともがいたりもせず、ライブも“来いって言われたから出ているだけだし”みたいな感じでした」

 中途半端な状態で芸人を続けているとき、事務所の先輩であるハリウッドザコシショウ(50)の単独ライブを手伝うことになった。これが大きな転機になる。

「ザコシショウさんはそのときもう売れていたんですけど、ピン芸人の裸一貫でたくさんの人を笑わせているのを見たとき、初めて“芸人ってかっこいいかも”って思ったんです。自分が21歳ぐらいのときで、それまでは本当にダラダラやっていたんですけど、そのときにちゃんと芸人をやるぞって、強く思いましたね。ザコシショウさんは、心の師です」

 ザコシショウさんによって、やす子さんは大きく変わった。

「ふだん、アドバイスとかはいただかないんですけど。会ったときに“あれ見たけどよかったよ”とか言ってくださるので、偉大な先輩が自分を見てくれているんだって、うれしさがありますね。誰かひとり、いい先輩を持つって、大事だなと思います」