注目を浴びるのは苦手。でも「人を楽しませる」ことが好き

  かつての浜中さんのグラビアを見ると、水面下でそんな苦悩があったとは思えないほど立ち姿が美しい。が、本人は念を押すように「僕、注目を浴びるとダメなんですよ」と続ける。

「プライベートでも、みんなで喋っていて僕に話を振られるとか、苦手ですもん。そういう人がなんでこんな業界にいるのかな、と思いますけど。なぜかと言われると……なぜですかね。でも、人を楽しませることは好きなんです。だからかなあ」

浜中文一 撮影/冨田望

「人を楽しませる」の醍醐味は、現在も生業にしている舞台で味わった。2013年『音楽劇 ザ・オダサク』で舞台デビューして以降、あまたの舞台を経験した。

「舞台は苦手な写真とちがって、生だから、通り過ぎていく新幹線みたいなものじゃないですか。オープニングからラストまで。全部を鮮明に覚えているかといったら、なかなかそういうわけでもない。だから気楽なんですよ」

ーー臨場感がお好きなんですか。

「そうなんですかね。僕は毎回同じことをやらないタイプなので、飽き性というわけではないけど、同じことをやり続けるのはあまり好きじゃないというか。一瞬で冷めてしまうから、なるべくちょっとでも変えていきたいんです」

「舞台は生物(ナマモノ)」という言葉がある。形が残り続ける写真とは対象的な舞台の世界だからこそ、浜中さんの鮮度命の演技が、映えるのではないだろうか。

はまなか・ぶんいち
1987年10月5日生まれ、大阪府出身。1999年より芸能活動を開始し、2017年に卒業。2023年12月31日にSMILE-UP.を退所し、現在はフリーランスとしてテレビや舞台など幅広く活動。2013年『音楽劇ザ・オダサク』で初舞台を踏み、2016年にミュージカル『50 Shades~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』で初主演を務め、数多くの舞台経験を積む。8月17日より主演を務める『ブラック・コメディ』が上演開始。

【公演情報】
舞台「ブラック・コメディ」
原作 ピーター・シェーファー
上演台本・演出 大歳倫弘
出演 浜中文一 市川美織 三倉佳奈 山口森広 朝海ひかる 渡辺いっけい 他
【東京公演】
期間:2024年8月17日(土)〜9月1日(日)  会場:IMM THEATER