平成のJ-POPシーンに颯爽と登場し、瞬く間に世間にラップを浸透させたm.c.A・T。ハイトーンボイスから繰り出される『Bomb A Head! 』というフレーズは、令和のミュージックシーンにおいても色あせない。今年でデビュー30年目を迎えたm.c.A・Tの謎に包まれた人生の転機とは? 【第3回/全5回】

m.c.A・T 撮影/三浦龍司

 「あまり話すのは得意ではない」と語るm.c.A・Tだが、音楽の話になると饒舌になり、こちらの興味を惹きつけた。

「俺はプリンス(アメリカ出身のミュージシャン・1978年デビュー)が大好きだった。彼はファンク色が強い中に、パンクもあった。でも僕は、パンクがあまり好きではなかった。いわゆるロンドン出身のアーティストは、パンクの影響を受けているので80年代のテクノって、パンク色があったんです。

 パンクが苦手な理由は、歌がしっかりとしていないと嫌だから。だから、セックスピストルズ(イギリス出身のパンクバンド・1976年デビュー)は、歌い方が受けつけなかった(笑)。腹の底から声が出ているゴスペルも好きだったんで、どうしてもブラックミュージックに近い歌じゃないと、受けつけなかったんですよ。そういう影響を合わせてできたのが、自分の音楽ではないかなって思いますね」