歌唱中のダンスにもこだわりが

 テレビ出演や、ライブではリズミカルなダンスも見せている。歌声同様にキレのあるダンスにもこだわりがあった。

「歌だけ歌っているのが嫌なので、ダンサーの方と一緒に踊ったりしていました。本当はギターを持って歌いたかったけれど、世間の方のm.c.A・Tのイメージがぶれるといけない、と思って踊ったりしていましたね。

 周りからはブレスの少ないきつい曲なのに、わざわざジャンプしなくていいだろうって言われました。人と違うことをするのは非常に労力がかかるけど、やって良かったなって思いました」

――ダンスは習っていたのですか?

「いいえ、習ったことはないんです。音楽だけで手いっぱいだったし、誰かに習うことが嫌いだった。でも周りには世界的にも有名なダンサーがいっぱいいて、彼らが“教えようか”って言ってくれたのに“いらないよ”って断っていましたね(笑)。いま考えてみると、ちゃんと教わっておけばよかったかな」

――m.c.A・Tさんの声も、伸びがあって独特ですよね。

「声が楽器のようだって、すごく言われますね。メロディーよりもリズムが好きなんです。だからダンサーとも息があうんじゃないかな。リズムも1,2,3って取らないんですよ。その倍でリズムを取ったりもするんで。だからライブを見てもらった人からは、“m.c.A・T自体がリズムだ”って言われたりもします。それは嬉しいなって思いますね」

 m.c.A・Tが手掛けた楽曲といって欠かせないのは、DA PUMPに提供した数々のヒット曲ではないだろうか。彼らの個性を存分に発揮した楽曲は、どのように誕生したのだろうか。

DA PUMPは、初期の頃から関わっていた。彼らは沖縄アクターズスクール出身なので、歌って踊れるような久保田利伸さんの曲や、バブルガム・ブラザーズさんの曲で歌ったり踊ったりしていたらしいんです。

 いろいろ試してみてしっくりこないなって思っていたときに、『Feelin' Good 〜恋はパラダイス〜』を渡したら、めちゃくちゃハマったらしいんです。そこから、俺が制作を頼まれるようになったんです」

m.c.A・T 撮影/三浦龍司