1935年、まだ大正ロマンの残り香が漂う長崎県長崎市、カフェや料亭を営む家庭でこの世に生を受けた美輪明宏。たぐいまれなる美貌と表現力で、歌手、俳優として活躍するとともに、人生相談の回答者としても人々の心の支えとなってきた。’24年6月に出版された著書『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』(毎日新聞出版)と、THECHANGEの電話インタビューで、美輪明宏の“いま”に迫る──。【第1回/全3回】

美輪明宏 撮影/御堂義乘

私生活では散歩をして健康に気を配っている

’24年6月に出版された『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』は、スポーツニッポン紙上で’13年1月から’23年12月のあいだ連載された、『美輪の色メガネ』を書籍化したもの。読者から寄せられた相談に答える形式でまとめられている。「はじめに」では、今年1月に起きた能登半島地震をはじめとする天災、政治問題、デジタルが人々に与える影響などに触れ、美輪が“いま”起きていることに深い関心を寄せていることがよくわかる。

 美輪明宏は、どんな毎日を送っているのだろうか?

「数年前から続けているお散歩もコースが変わりましてね、ご近所を歩いていると、どうしても人目に付いてしまうし。ですから最近は、自宅の玄関先にある、ちょっとした空き地に限って歩くようにしております。なにしろ来年は90歳ですから、健康のためには歩きませんとね。ハウスキーパーの方が偏りのないお食事を作ってくださるので、栄養も足りていると思いますよ」

 健康のために散歩をして、バランスの取れた食事をとる。美輪明宏の毎日は、前向きだ。
 著書の中でも、中高年世代のひきこもりの解決策として、

——自分で一日の時間割を決めれば、生活にリズムが生まれ、メリハリのある健康的な生活が送れます。ぜひ、試してみてください。(『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』より)

 として、質の良い音楽や絵画の鑑賞や、囲碁、将棋、スポーツなどを勧めている。