最近はメジャーリーガ―・大谷翔平選手に注目

 また、美輪は情報収集のためによくテレビを見るという。

「テレビを拝見していて興味があるのは……やはり大谷(翔平)さんかな(笑)。 日本人が世界的に活躍しているというのは、誉れじゃありませんか。日本の代表として頑張れ! と応援しております」

 著書の中でも美輪は大谷翔平の活躍に触れ、「まっすぐな若いエネルギーが日本を変えるはずです」として、

——その代表が、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスで前代未聞の二刀流で注目を浴びた大谷翔平選手(編集部注:現在はロサンゼルス・ドジャースに在籍)です。彼のホームランと快刀乱麻のピッチングが、コロナ禍にあえぐ日米両国の人々にどれだけ勇気と感動をもたらしてくれたことでしょう。

 と記している。 美輪は、大谷選手に限らず、現代の若者たちにも愛のあるまなざしを注ぐ。

「最近、テレビで拝見する俳優さんは、みなさんおきれいですよね。失礼ながら、お名前はあまりよく存じ上げないのですけれど、男性も女性も、きれいな方がザクザクと出ていらっしゃる。世の中が平和になると、若い方が平和な時代のお顔になるんですね」

 平和な時代……。第二次世界大戦の中で子ども時代を過ごし、10歳のときに長崎で原子爆弾投下を経験した美輪だけに、平和への思いは強い。

「戦時中から終戦後、世の中が困窮して大変だった時代は、毎日が生きるための闘いでしたから、誰しも猛々しいお顔になっていました。ならざるを得なかったんですね。しかし今の日本は、もちろんさまざまな問題はあるけれど、平和です。それが、若い方たちをきれいにしているのではないかと思いますね」

美輪明宏(みわ・あきひろ)
1935年生まれ、長崎県出身。16歳でプロ歌手としてデビューし、銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で注目を集める。1957年に「メケ・メケ」、1966年に「ヨイトマケの唄」が大ヒット。俳優としては、1967年に寺山修司の「演劇実験室◎天井桟敷」の旗揚げ公演「毛皮のマリー」ほかに、三島由紀夫と組んだ「黒蜥蜴」ほか、数多くの作品に出演。以降、演劇・リサイタル・テレビ・ラジオ・講演活動など、幅広く活動。また、さまざまなメディアで人生相談の回答者をつとめ、絶大な支持を得ている。

●作品情報
著書『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』
毎日新聞出版
大切なのは、その人の心や魂を見ることです。
恐れず人と向き合い、心穏やかに生きるための〈美輪流〉55の知恵
定価:1870円(税込み)