2000年代前半、透き通るような声でストリートライブを行って「路上の天使」と呼ばれ、恋愛バラエティー番組『あいのり』(フジテレビ系)の主題歌「明日への扉」などで話題を博してきた川嶋あいさん。幼少期から数々の「THE CHANGE」を経験してきた彼女に、これまでの人生やこの先の未来について語ってもらった。
【第4回/全5回】

川嶋あい 撮影/桜井恒二

 今年で音楽活動20周年を迎えたシンガーソングライターの川嶋あいさん。20年前にプロとしてキャリアをスタートした当時と今で、変わったものは何なのか。

「10代、20代、30代で書きたい曲の目線は違うんですよね。テーマみたいなもの、焦点について、昔はひたすら自分に問いかけてきた曲が多かったです。

 20代になってからは聞いてくださるファンの方の存在をどこかに連想している自分がいるようになって、相手が見えるような曲を書くようになりました。

 30代の今は自分の原点に戻りつつあります。小学校高学年ぐらいの時に初めて楽曲を書いていたあのころ、一番自由でとにかく書きたいものをテーマに書き出して、それが一曲になっていく。そういう自分が今いるな、と思います」

 その反対にずっと変わらないもの、譲れないものは?

「今のほうが曲作りにかける時間は長いんですが、曲に関しては、ずっとメロディの一体感にこだわっています。男女のようにというか、運命的に出会うようなものを求めたいんですよね。 そこは変わらないです。

 メロディから作って、それからメロディにあてはまる言葉を紡ぎます。語尾の終わり方は“あ行”がいいのか、“さ行”がいいのかとか。でもそれはけっこう、実際に歌ってみないと分からなかったりするんですよね。メロディに当ててみて“あ、これいいな”と。自分で歌って最後にたどり着ける。そういう直感で作り上げていくことがずっと変わらずにこだわってるところですね」