俳優としてだけではなく、4人組バンド「DISH//」のボーカル・ギター担当としてアーティストとしても活躍中の北村匠海。最近では大人気コミックの実写化『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助役、地上波でのドラマ『アンチヒーロー』(TBS系)での正義感の強い若手弁護士・赤峰柊斗役が好評、来年度前期NHK連続テレビ小説『あんぱん』への出演も決まっている。そして、『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』ではゲスト声優を担当。北村匠海にとっての転機“THE CHANGE”に迫る。【第1回/全4回】

北村匠海 撮影/冨田望 スタイリスト/Shinya Tokita ヘアメイク/Asako Satori

 ありふれた言い方だが、いわゆる”好青年”というイメージの北村さん。その、身にまとった落ち着いた雰囲気や発せられる言葉の端々から26歳とは思えぬ落ち着きぶりが感じられる。事実、北村さんが芸能界入りしたのは小学生の頃だから、それから20年近く経過している。その時間の中で北村さんが影響を受けてきたものは少なくない。北村さんもデビュー間もない頃は、「監督に怒られないように」という気持ちで仕事に取り組んでいたそうだ。

「やっぱり、当時は子供だったので、仕事としての感覚もあまりなくて、どうして注意されているのかよく分かってなかったんでしょうね。僕は元々、テレビの中の世界に憧れて、この世界に入ったというわけではなかったので、芝居というものが全然理解できていなかった。でも、オーディションというものが楽しかった。漠然とですが、その楽しいという感情だけはあったんです。出演させていただいた作品で、自分が出来なくて、注意されて……という感覚。それが撮影現場に対してのイメージでしたね」