「息を吐くような自然さで“無邪気”につくれるんです」

寺内:怖いって、ひとつじゃないですよね。笑いだってそうじゃないですか? 子どもの頃は、怖いものを怖いって素直に感じますよね。でも大人になって、自分の人生経験が感性に上乗せされていくと、次第に凝り固まって、どんどん世間の感性とズレていく。それで自爆することってありますよね。そうなると、真面目な人ほどツラいんですよ、続けていくのが。
植田:確かに、お笑いでも純粋な人ほどそうですね。
寺内:そうやって行き着いた先にYoutubeという表現方法があったし、大人気チャンネル「ゾゾゾ」の皆口(大地)さんと出会ったことでQが生まれました。
(※Qは「ゾゾゾ」の皆口氏、寺内監督、福井鶴氏と遠藤香代子氏の4名で共同制作されている)。
 僕にとってQはすごく楽なんです。息を吐くような自然さで、無邪気につくれるんですよ。だからこそ扱いは難しいんです。既存のノウハウに合わない、理論的に間違っていることしかやっていないんですから。
植田:本当に無邪気に撮っている(笑)。
「ラストカウントダウン」に出てくる「トラホンピータ」なんかも特にそうですよね。幼少期における教育テレビの潜在的な恐怖みたいなものをうまく表してるな、と。

「理論的に間違っていることしかやっていないんですから」と寺内監督。撮影/小島愛子